豆夢 大使館SNS親善大使

豆夢 大使館SNS親善大使

バーベキューはアメリカの食文化のひとつ。特に独立記念日には、家族や友達が集まって庭でバーベキューをするんだ。アメリカ料理は豪快でシンプルなイメージがあるけど、実はバーベキューに関してはアメリカ人にはものすごいこだわりがあって、本格的なアメリカンバーベキューの調理はなんと15〜17時間にも及ぶんだ! 「スモーク」や「ロースト」といた調理法を使い分けて、ソースに漬けたり、スパイスを擦りこんだりしたものを、蓋付きのグリルで長時間じっくりと調理していくと、分厚い赤身肉だって肉汁がしっかり閉じ込められて、ジューシーにおいしく焼き上げることができるんだよ。

アメリカではバーベキューの達人は、「ピット」と呼ばれる肉を焼くかまどのマスターという意味で「ピットマスター」と呼ばれ、特別な技術を持った、日本でいうところの「職人」として尊敬されている。そんなピットマスターってどういうものなのか、テキサスでも1、2を争うバーベキュー・レストラン“Louie Mueller Barbecue”のオーナー兼ピットマスターのウェインと、彼の弟子で、日本でバーベキュー・レストランを経営しているクレイグにインタビューしてきたんだ。

「ピットマスター」のウェイン・ミューラー(左)と弟子のクレイグ・ホワイト

「ピットマスター」のウェイン・ミューラー(左)と弟子のクレイグ・ホワイト

ウェインは火力の調整はもちろんのこと、焼く肉の部位に応じた切り方、ウッドチップの選択(湿り具合まで考慮するんだって)、煙の対流のコントロールにまで細心の注意を配りながら肉を焼くんだって。さらにはなんと、バーベキューピットだって自分で設計できちゃうらしいよ。ここまでやって、真のピットマスターと呼ぶことができるんだ。すし職人にだって引けをとらないかもしれないね。

でも、クレイグいわく「ピットマスター」という資格があるわけではなくて、バーベキューで肉を焼く達人をちょっとオーバーにわかりやすく表現するためにメディアがつくった言葉だとか。“BBQ Pitmasters”という、ピットマスターがその技を競い合うテレビ番組が2009年に始まったことがきっかけなんだって。職人気質なウェインは「日々研さんしてよりよいものを作っていくためには、謙虚でなければならない。自分でピットマスターなんていって満足してちゃダメなんだ」って言ってた。さすが職人さん!今回はウェインのような、誇り高い職人さんが作っているアメリカンバーベキューについて、みんなに紹介するね!

バーベキューの起源

実はバーベキューには、移民によるアメリカ建国の歴史をなぞるような背景があって、とても奥が深いものなんだ。バーベキューという言葉も、コロンブスが新大陸を発見した頃の、西インド諸島に住んでいた先住民の調理法「バルバコア」に由来すると考えられているんだよ。これは肉の串焼きを遠火で焼く調理法なんだけど、「丸焼き」という説もあるんだ。

バルバコアからバーベキューへ

画像提供:U.S. Meat Export Federation

この西インド諸島の調理法がスペイン人支配者によってアメリカ大陸北部にもたらされ、ヨーロッパからの移民を通じて西に伝えられていくんだけど、同じヨーロッパ人でも出身国によって文化はさまざま。それぞれの土地に移住してきた人々の文化の影響を受けて、土地ごとに調理法のバリエーションが発展したんだ。「バルバコア」が伝えられた道筋をたどる一帯は「バーベキューベルト」と呼ばれているんだよ。

大バーベキュー

アメリカのバーベキューのスタイルについてはいろいろな説があるけど、地域で分けると4つのスタイルがあるんだ。まずはこの4つを紹介しよう!

about_pic_map

画像提供:U.S. Meat Export Federation

最初に2つのカロライナ州。特徴は豚肉を使用していること。ノースカロライナではトマトベース、サウスカロライナではビネガーベースと、ソースに違いがあるんだよ。

次にテネシー州メンフィス。ここも使う肉は豚肉だよ。ソースが付いた「ウェット」とスパイスとハーブをもみこんだ「ドライ」の2種類を楽しめるんだ。

上に挙げた2つの土地で豚肉のバーベキューが一般的な理由はね、南北戦争以前の南部には森が多くて、森に放てば勝手に育つ豚の飼育が低コストかつ簡単だったからなんだって。だからこの地域のバーベキューに一家言ある人たちは、「バーベキューといえば豚肉!」と考えている人が多いらしいよ。

3番目はテキサス州。スペイン植民地時代にメキシコから持ち込まれた牛肉がついにここでバーベキューと出会うんだ。あとで触れるけど、これによってバーベキューはローカルフードの枠を超えることになるんだよ! 低温・長時間調理で、安価な部位の牛肉を柔らかく仕上げるのが特徴。

最後にミズーリ州のカンザスシティ。昔、畜産の中心地だったこの都市はステーキやバーベキューが名物で、「肉牛の町(Cowton)」とか「世界のバーベキューの都(BBQ Capital of the World)」と呼ばれてるんだ。

バーベキューと牛肉

第2次世界大戦前まで、アメリカでは豚肉の方が多く食べられていたんだって。それが1950年代にほぼ同程度になって、60年代、70年代と進むにつれ、牛肉の消費量がほぼ2倍以上になったんだ。そんな牛肉普及の背景のひとつとして考えられるのが、郊外で庭付き一軒家を持つようになったアメリカ人の「裏庭でのレクリエーションとしてのバーベキュー」

寄生虫リスクがある豚肉よりも、手早くグリルできる牛肉の方が使いやすかったんだろうね。本来、スモークを用いてじっくり火を通すバーベキューは豚肉に適した調理法だけど、裏庭のバーベキューで調理を担当するのは家庭のお父さん。休日のお父さんがみんな料理上手なわけじゃないよね。

ちなみに焼かれている肉の部位で人気なのは、「ブリスケ」(下の図:D)や「リブ」(下の図:B)。なじみのない名前かもしれないけど、ブリスケは前股の内側にある肩ばら肉で、リブは肋骨部分のことだよ。

牛肉の部位の図

画像提供:U.S. Meat Export Federation

あと、アメリカでも「プライム」っていう格付けの高級肉があって、それはしっかりと脂が混ざった、とってもやわらかい肉なんだ。アメリカンビーフにはヘルシーな赤身肉からリッチな霜降りまで、幅広い選択肢があるんだね。

 

ソウルフードとの関係

同じ南部の生まれの料理といえば、「ソウルフード」と呼ばれる料理があるんだ。日本でソウルフードというと郷土料理やおふくろの味を意味することがあるけど、それとはちょっと違って、アフリカ系アメリカ人の伝統料理のことなんだよ。音楽でいうとソウルミュージックみたいなイメージかな。実は、バーベキューはソウルフードから多くの影響を受けているんだって、ピットマスターのウェインが教えてくれたんだ。

ソウルフードは、高価な食材を使うことができなかった人々が、たとえば肉の解体の際に捨てられる内臓など手ごろな価格の食材を使い、祖先がアメリカに移住したときに持ち込んだ伝統的な調理法を用いて作り上げていったものなんだけど、バーベキューも、安く手に入るかたい肉をジューシーに軟らかくおいしくするために発展したんだ。限られた食材でどのようにおいしいものを作るかという知恵が生み出した料理という意味で、この2つには大きな共通点があるんだね。

どこで食べられるの?

「アメリカの本格的なバーベキューを日本で食べられるところはあるの?」ってみんな思うだろうけど、アメリカンバーベキューを提供する店も少しずつ増えてきてるみたいだよ。でも「やっぱり本場のバーベキューを堪能したい」って人は、アメリカ南部のバーベキューベルトを旅してみてほしいな。日本では見られないような広大な自然が広がっていて、ニューヨークやロサンゼルスとは全然違う、アメリカという国の多様さが食文化を通してきっと楽しめるはず。

american bbq