5月12日、アメリカ大使公邸で盆栽教室が開催され、キャロライン・ケネディ駐日アメリカ大使と6人の大使館職員が、東京都立園芸高校盆栽部の部員から盆栽の手入れの仕方について手ほどきを受けた。伝統的な盆栽に魅了された大使は、小さなもみじの木を使って盆栽作りを楽しんだが、この木はひょっとしたら樹齢100年を超える高木になるかもしれない。「盆栽は姿形も美しく、大自然の縮図のようで、歴史と自然を振り返るような素晴らしさがあります」。あいさつで大使はこう述べた。

盆栽教室でケネディ大使が作った紅葉の盆栽

盆栽教室でケネディ大使が作ったもみじの盆栽

昨年、日米友好を象徴する木、ハナミズキを植樹する式典が園芸高校で開催され、ケネディ大使も出席した。これが縁で、園芸高校の生徒が育てた見事な盆栽が大使公邸に飾られている。目を見張るような数々の盆栽の美しさに感銘を受けた大使に、学校側が大使公邸に盆栽を貸与したいと申し出たのだ。大使はこのように言う。「この日本の特別な伝統を若者が継承するのは素晴らしいことです。盆栽は集中して、献身的に、責任を持って世話する必要があります」

Ambassador Kennedy plants a dogwood tree at Tokyo Metropolitan Engei High School during an event

都立園芸高校で行われたハナミズキ植樹式に参加するケネディ大使。これがきっかけで盆栽教室が開催された

日米は花木を通じた外交を100年以上にわたって続けており、そのなかで園芸高校は有益な役割を果たしてきた。1912年、当時の東京市長が、末永く続く日米友好の象徴として桜の木3000本を米国に寄贈した。その3年後、返礼としてハナミズキの苗木40本が日本に贈呈され、そのうち2本が園芸高校に植樹された。1915年に贈られたハナミズキのうち、今も残っているのは同校に植えられた1本だけとなり、同校はケネディ大使が2015年に植樹した新たな木とともに、今も世話を続けている。

盆栽教室では、園芸高校の若き盆栽名人たちが、もみじの若木をセラミックの鉢に植え、ワイヤーとピンセットを使って慎重に木を固定する方法を大使に教えた。自分が作った盆栽に最後の仕上げを終えた大使は、「私の盆栽がついに完成したわ」と鉢を掲げてうれしそうに声を上げた。盆栽教室の参加者全員が、それぞれ自分が作った盆栽を大いに気に入ったようだった。

ケネディ大使に盆栽の手入れの仕方を教える都立園芸高校盆栽部の部長海阪花子さん

ケネディ大使に盆栽の手入れの仕方を教える都立園芸高校盆栽部の部長、海阪花子さん(写真右端)

このイベントは、盆栽を大使公邸に貸与する園芸高校に、大使が感謝の気持ちを示す機会であったと同時に、英語教育の重要性を強調し、米国で英語と農業を学ぶ機会を紹介することにもなった。「大使館の皆さんに日本文化を教えるのは楽しかったです。将来もっと多くの人たちに教えたいと思います」。盆栽教室に参加した生徒の1人がこう述べた。この気持ちに共感した大使は、この生徒たちが「アメリカを訪れ、アメリカの学生に盆栽を教えてくれることを期待しています」と語った。

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数カ月後、大使は皇居の盆栽園を訪れる機会を得て、樹齢600年を超える盆栽の美しさに深く感動した。盆栽という悠久のアートを学ぶケネディ大使の旅は続く。

このイベントの様子はビデオでもご覧になれます。