ミア・トン

シェナンドー国立公園(バージニア州)

シェナンドー国立公園はワシントンDCから車で1時間半~2時間の場所にあり、気高いばかりの壮大な美しさを醸し出しています。ブルーリッジ山脈の一部を含むシェナンドー国立公園は、東海岸を貫くアパラチア山脈の象徴です。冬の積雪、春と夏に見られる緑の木々や花々、秋の紅葉など、この公園には季節ごとの美しさがあります。公園には車で行くのが最も便利で、スカイライン・ドライブと呼ばれる全長170キロメートルのシーニック・バイウェイ(景勝間道)を使って、公園の最北端にあるフロントロイヤル側の入り口から最南端まで公園を縦断できます。

旅行者は通常、公園を車で通り抜け、アパラチア山脈の自然美を鑑賞します。クロクマ、シカ、アライグマ、スカンクなど、この山脈特有の野生生物に出くわすこともあります。ハイキングやウォーキングをして、公園で最も高度が高いホークビル山頂など山の頂上まで登ったり、ダークホローズ滝、あるいはホワイトオーク滝まで行ってもいいでしょう。これらの場所には、スカイライン・ドライブを起点に行くことができます。公園内ではキャンプやロッククライミング、乗馬もできます。スカイランド・リゾートやビッグメドウ・ロッジのレストラン、スカイライン・ドライブ沿いのフードショップは旅に便利です。宿泊にはスカイランド・リゾート、ビッグメドウ・ロッジ、あるいはルイスマウンテン・キャビンなど、公園内の宿泊施設を利用できます。天気がよければ、スカイライン・ドライブ沿いの4つのキャンプ場のいずれかでキャンプもできます。年齢にかかわらず誰でもシェナンドー国立公園への旅を楽しめます。

紅葉で色づくシェナンドー国立公園の山々(AP Photo/Daily News-Record, Nikki Fox)

 

メサベルデ国立公園(コロラド州)

コロラド、ニューメキシコ、アリゾナ、ユタの4州の州境が集まるフォーコーナーズから車で1時間の距離にあるメサベルデ国立公園では、ヨーロッパから入植者がやって来る以前のアメリカの歴史を垣間見ることができます。ユネスコの世界文化遺産でもあるメサベルデは、紀元1200年頃に古代プエブロ人が荘厳な雰囲気の自然に囲まれた場所に建設した遺跡です。古代プエブロ人は、現在のコロラド州、ユタ州、ニューメキシコ州、アリゾナ州の各地で生活し、石や干しレンガを使って断崖住居と呼ばれる巨大な住居を崖の下方に築きました。メサベルデ国立公園では、プエブロ人が日常生活をしていた美しい遺跡を目にすることができます。クリフパレスやスプルースツリーは必見で、巨大な崖の下に住居が築かれている様子は、まさにプエブロ人の奇跡です。チャピンメサ考古学博物館では、古代プエブロ人の歴史を学んだり、先史時代の遺物を見学できます。モンテズマバレー・オーバールックなどの自然の高台では、この公園の自然の美しさに驚嘆させられるでしょう。

冬季は寒さが厳しく閉鎖される場所もあるため、公園の魅力を十分に楽しむには4月から10月までがベストシーズンです。レストランなどの飲食店はモアフィールド・キャンプ場、ウェザリルメサ、ファービュー・ロッジ、ファービュー・テラスの近くなど、公園の至る所にあります。公園内での宿泊を希望する場合は、4月から10月下旬までファービュー・ロッジに宿泊できます。またサンダンスベア・ロッジやアメリカンガーデン・インなど、その他のホテルや宿泊施設は、公園付近の町中にあります。モアフィールド・キャンプ場が5月中旬から10月初旬まで営業しているので、星空の下でのキャンプに興味がある人は利用してみてはいかがでしょうか。公園を見て回り、アメリカ史の実に壮大な、他では見られない面を学びましょう。

メサベルデ国立公園のクリフパレスを見学する観光客(AP Images/Beth J. Harpaz)

ジョシュアツリー国立公園(カリフォルニア州)

ロサンゼルスから車で3時間のジョシュアツリー国立公園は、都会の生活とは全く対照的な場所であり、カリフォルニア州の最も大切な財産のひとつです。公園に足を踏み入れた瞬間から、砂漠の風景の神秘的な雰囲気に魅了されるでしょう。この公園には、砂砂漠、岩砂漠、低木砂漠など、さまざまな種類の砂漠地帯があります。アメリカの他の地域では見られない、多種多様な植物や動物も見られます。この砂漠の中で最も注目すべき植物は、公園の名称にもなっているジョシュアツリーです。公園内の一部のあちこちで見られるこの木は、背の高さととがった形状が特徴です。この公園はウォーキング、ハイキング、ロッククライミングに最適です。運がよければ、晴れた日にはキーズビューからメキシコが見えるかもしれません。砂漠を訪れたら天体観測は外せません。ジョシュアツリー国立公園は、アメリカで最も美しく、はっきりと星が眺められる場所のひとつです。

ジョシュアツリー国立公園は、強い風と、1日の気温差が最大で40度にもなる過酷な気候でよく知られています。従って、天候がそれほど厳しくない春や秋に訪れるのがベストです。また砂漠地域は極度に乾燥しているため、車で通り抜けるだけでも、水分を十分補給するのを忘れないようにしてください。他の公園と違い、ジョシュアツリーにはレストランやホテルはありませんが、パームスプリングス、デザート・ホットスプリングスなどの周辺都市や、ジョシュアツリーの町などに食事をするところはたくさんあります。周辺の町で宿泊する代わりに、公園内にある多数のキャンプ場で、砂漠の空を仰ぎながらキャンプしたり、ピクニックすることも可能です。奇妙な形の岩、とがった形の高木、この公園固有の野生生物で満ちたジョシュアツリー国立公園は、都会のけん騒からの逃避先として最高の場所です。

ジョシュアツリー国立公園で毎年見られるしし座流星群の下、堂々と立つジョシュアツリー(AP Photo/Reed Saxon)

アカディア国立公園(メーン州)

アカディア国立公園はアメリカ北東部メーン州にあり、大西洋沿岸の島々の美しい自然を楽しめます。マウントデザート島という本島と周辺の小さな島々に位置するこの公園には、海、砂浜や岩浜、山々、そして森林があり、場所ごとに見所があります。ヘラジカ、クロクマ、ヤマアラシ、シカ、シマリス、その他のアメリカ北東部特有の動物が多数生息しており、こうした動物が戯れたり餌を食べているところに出くわすかもしれません。旅行者は緑の山々でのハイキング、ビーチの散歩、ロッククライミング、クルージング、馬車乗り、キャンプなどを楽しめます。人気のある観光名所には、絶景のイーグル湖、公園内の最高峰キャデラック山、サムズサウンドと呼ばれる東海岸唯一のフィヨルド、神秘的な美しさを持つサンドビーチなどがあります。アカディアの美しさは言葉ではとても言い表せません。

メーン州の夏は涼しく非の打ちどころがありませんが、冬には雪が多く厳しい寒さになる場合があります。春や秋は少し肌寒い気候です。通常、最も多く観光客が訪れるのは夏です。とはいえ、メーン州には四季折々の特徴があり、春に咲く花、秋の落ち葉、絵に描いたような純白の雪などのさまざまな美しさを誰もが楽しめます。数日かけてアカディア国立公園の素晴らしい場所を全て探求するのも楽しいですが、日帰りでも見学できるところはたくさんあります。レストランと小さなギフトショップが併設された公園内のジョーダンポンド・ハウスで食事するのもいいかもしれません。公園に最も近い町のひとつ、バー・ハーバーの一帯に、ホテル、宿屋、ベッドアンドブレックファーストなどがあり、宿泊が可能です。ブラックウッズ・キャンプ場とシーウォール・キャンプ場は、どちらも5月から10月まで営業していますが、ブラックウッズ・キャンプ場でキャンプする場合は事前予約が必要です。

アカディア国立公園の数ある名所のひとつイーグル湖(AP Photo/Robert F. Bukaty)

ザイオン国立公園(ユタ州)

ザイオン国立公園は、グランドキャニオンのすぐ北にある楽園です。グランドキャニオンと同じく、公園内のあちこちにそそり立つ渓谷、連なる山々、巨大な岩石でできた建造物がありますが、川や渓谷の狭い道、そして自然が生み出したアーチ状の岩などは、ザイオン国立公園特有のもので、毎年訪れる多くの観光客が感嘆の声を上げています。クリーム色と赤色の砂岩の上に澄み切った青空が見えるこの公園は、とても美しい場所です。ここでは、玉座の形をした巨大なグレート・ホワイト・スローンの前で写真を撮影したり、「ナローズ」と呼ばれる渓谷の狭い道を通ってウォーキングやハイキングをしたり、支柱なしで立っているアーチでは世界最大級のコロブ・アーチを見学できます。ナローズは狭い渓谷の道と、その間を流れる川により、アメリカ有数のハイキング・コースとされています。ザイオン国立公園には砂漠地帯に加え、エメラルド・プールなど多くの貯水池や、川や滝、さらに植林地帯などがあります。難易度の高いハイキング・コースがたくさんありますが、経験が少ない人たちのための易しいコースも数多くあり、誰もがこの公園を利用できるようになっています。運が良ければ途中でマウンテンライオンやオオツノヒツジを見かけるかもしれませんが、野生生物に出会ったときには特に気をつけてください。

乾燥しており、気温が急激に変動する予測できない気候のため、水分を十分補給し、重ね着ができるように準備することが重要です。ザイオン国立公園の東側にあるイーストザイオンの町には、ホテル、宿屋、ロッジなど、食事や宿泊ができる場所が多数あります。公園内のザイオン・ロッジでは宿泊施設や食事が可能です。3月から10月末までの期間に、澄んだ空の下でキャンプをしたければ、ウォッチマン、サウス、あるいはラバポイントのキャンプ場に滞在したり、グループキャンプ場に参加し、そこで旅行の計画を立ててもらうこともできます。ユタ州には国立公園がたくさんありますが、ザイオン国立公園は最も美しい公園のひとつであり、この地への旅が忘れ難いものとなることは間違いありません。

ザイオン国立公園の有名な「ナローズ」を歩く旅行者たち(AP/Ross D. Franklin)

旅のヒント

  • 地図やガイドブックを入手しましょう
    公園内で道に迷うかもしれないので、旅行の前に地図やガイドブックを入手しましょう。国立公園に必ず設置されている案内所に立ち寄ってもいいでしょう。
  • 十分に水分補給をしましょう
    国立公園のほとんどが遠隔地にあり、多くは脱水症状を起こしやすい極めて乾燥した地域にあります。散策中、気がつくと水や食べ物を入手できる最寄りの場所から遠く離れてしまっていることがあります。日帰りの旅でも、キャンプをする場合でも、必要なものを十分に携帯することを忘れずに。
  • 重ね着ができるように準備しましょう
    いつ天候が大きく変化して、気温が極端に変動するか予測がつかないため、夏場でも上着やセーターを持参しましょう。
  • 無理をしないこと
    公園内の登山コースや園内で楽しめるアクティビティの難易度はそれぞれ異なります。ですから公園を管理するパークレンジャーに尋ねたり、公園の地図やガイドブックをチェックするなどして、事前に難易度を必ず確認しましょう。幼い子どもたちが同行している場合には、特に注意が必要です。
  • 常に積極的に楽しみましょう!

ここで紹介した公園は、遠隔地にあるものもあれば、国際空港のある主要都市に近接しているもあります。都会での観光に比べ、公園まで行くには手間がかかる場合があるかもしれませんが、不可能というわけではありません。さらに、アメリカには他にも多くの国立公園がありますから、ここで紹介した公園以外にも出かけてみてください。国立公園は他にも20カ所ほどあり、アメリカの東部から西部まで至る所に点在しています。アメリカの自然の素晴らしさを体験しなければ、アメリカを旅したとはいえません。皆さんが「美しいアメリカ」を楽しむ機会を得ることを願っています。


ミア・トンは2012年夏に在日米国大使館の報道室で短期採用されたカリフォルニア大学バークレー校の3年生。人類学を専攻し、副専攻はアラビア語。各国の米国大使館に勤務する両親のもと、幼少期を日本、中国、韓国、米国で過ごした。