4月22日は「アースデー」。世界各地で、環境への意識を高めるさまざまなイベントが開催される。

 しかし、環境保護の取り組みはアースデーだけで終わらない。例えば、アメリカでは、環境意識の高い都市が、環境保全の取り組みをリードしている。エネルギー効率に優れたビルへの転換、大気汚染の少ない公共交通機関の利用拡大、再生可能エネルギーへの転換に対する税の優遇措置など、都市ごとに施策は異なるが、共通しているのは市長の強いリーダーシップと、十分な予算が配分されている点だ。

 以下に、環境保全の取り組みで成功を収めているアメリカの都市を紹介する。

シカゴ(イリノイ州)―市職員や市民がおよそ50万本の木を植樹

DALEY SMITH

市庁舎の屋上庭園でテレビ番組の取材に答えるシカゴのデーリー市長(左)(AP Photo/Stephen J. Carrera)

 シカゴ市が11階建ての市庁舎に市内初の屋上庭園を創設したのは、2001年のことだった。今では、市内の高層ビルに造られた屋上庭園の総面積は、3万8000平方メートルを超える。屋上庭園は省エネ、雨水の管理、そして密集した都心で起こる異常な気温の上昇の緩和に役立つ。シカゴには環境的に持続可能なビルが120棟以上あり、その多くが屋上庭園を備えている。シカゴは環境に優しい「グリーンビル」の分野でアメリカをリードする都市である。

ポートランド(オレゴン州)―自転車通勤する人の比率が全米第1位の大都市

 都市サイクリングを推進するポートランドでは、市民が全長500 キロ以上にも及ぶ自転車専用道路のほか、自転車利用に関する市の相談窓口である自転車コーディネーター、無料のサイクリングマップ、豊富な駐輪場、自転車版ドライブスルーを利用できる。企業の中には、従業員に対し自転車通勤を促す奨励策を導入しているところもある。利便性と奨励策により、ポートランドのサイクリスト人口は1990年以降、5倍に増えている。

ピッツバーグ(ペンシルベニア州)―PNC ファイナンシャルサービス・グループが、世界で最も「グリーン」な高層ビルを建設中

Portland

日曜の朝、サイクリングを楽しむポートランドの人々
(photo by Will Vanlue)

 黒い煙とすすを大気中に吐き出す製鋼所が点在し、衰退の一途をたどっていた工業都市ピッツバーグは、環境に優しい「グリーンシティー」に生まれ変わって活気を取り戻した。行政、労働者、企業、大学、非営利組織の連携により、クリーンエネルギー関連のプロジェクトや新興企業が新たな経済を生み出し、高賃金の「グリーンカラー」の雇用を創出している。

ロサンゼルス(カリフォルニア州)―ピーク時間帯に2000台のバスを運行、世界有数の「グリーン」なバス車両を保有する都市

 ロサンゼルスにスモッグ「警報」が発令される日は、以前より少なくなっている。事実、オゾン汚染とそれを引き起こす有害な粒子の量は、ここ数十年で減少している。

 連邦および州の自動車排出基準により、車やバスが排出する汚染物質は減っている。さらに、商業ビルでエネルギー効率と環境特性の向上を義務付ける地域の規制により、大気汚染が軽減される。

 それでも市の指導層が考えるように、大気の質の向上に向け、市が取り組まなければならないことは、まだたくさんある。

ニューヨーク(ニューヨーク州)―大都市の中で「エコについて考え、行動する」住民が最も多い町

 ビッグアップル(ニューヨーク市の愛称)を構成する5つの区は、北米有数の環境に優しい交通システムと土地利用制度を持つ。例えば、市営バスの半数以上は代替燃料で走っている。かつて工業用地だった場所や空き地の再開発により、ニューヨークは緑地を大幅に拡大した。また、環境に深刻な影響を及ぼす灯油の代わりに、よりクリーンな燃料を使用することで大気の質も向上させた。その結果、一人当たりの二酸化炭素の排出量が、他のアメリカの都市と比べて低くなっている。