uehara at red sox reception

 「2013年のスタートは、本当にボストンにとってつらいものでしたけれども、終わりで、皆さんが悲しい顔から少しでも笑顔になれたことをすごくうれしく思います。そのつらい思いは2014年も同じですが、もう一度皆さんが笑顔になれるように今年もがんばっていきたいと思っております」

 ボストン・レッドソックスの上原浩治投手は、レッドソックスの2013年ワールドシリーズ優勝を祝うキャロライン・ケネディ駐日アメリカ大使主催のレセプションで、同じレッドソックスの田沢純一投手と共に誇らしげに壇上に立ち、このようにあいさつした。その傍らには、日本のファンにお披露目するためボストンから持ってきたワールドシリーズのチャンピオントロフィーが輝いていた。レセプションの招待客には他にも、元大リーガーで2009年ワールドシリーズMVPの松井秀喜氏や、レッドソックス・ファンのマエストロ、小沢征爾氏、ソフトボール日本女子代表のメンバー、そして武蔵府中リトルリーグ世界チャンピオンのメンバーなどがいた。

amb caroline kennedy, hideki matsui, uehara, tazawa, seiji ozawa

ソフトボール日本女子代表のメンバー、そして武蔵府中リトルリーグ世界チャンピオンのメンバー

 「野球は日本とアメリカにぴったりのスポーツです」。MLBのジム・スモール・アジア副会長は開会のあいさつでこう述べた。「両国は太平洋によって隔てられていても、野球に対する愛情によって結ばれています。2013年のレッドソックスは、ボストンと地区の代表だっただけでなく、私たち皆の代表でした。レッドソックスは私たち自身の姿を表していました。だからこそ私たちは今夜ここで一緒にお祝いしているのです」

 レセプションでは、アメリカ人ビジネスマンや大使館職員と、元日本人大リーガーや野球ファンとの間で、レッドソックスの勝利や、抑えの切り札として活躍した上原投手について話が弾んでいた。たとえ同じ言語を話さなくとも、ジェスチャーや野球の専門用語を使って互いに意思の疎通ができていた。こうして見ると野球は、このスポーツが好きな人同士なら誰とでも仲良くなれる世界共通語のようだ。

amb caroline kennedy and Masanori Murakami, the first Japanese MLB player; so taguchi with little leaguer at red sox reception

amb caroline kennedy, uehara and tazawa at red sox reception

 上原投手があいさつで、英語をもっと勉強し、メディアのインタビューに流暢な英語で答えて日本人とアメリカ人の心をつかんだ自分の息子よりも英語を話せるようになることが今年の目標だと話したとき、会場は大きな笑いに包まれた。しかしアメリカン・ビューのインタビューでは、英語の習得法について、「正直言って、勉強してません。もう行き当たりばったりで、その場の雰囲気、ジェスチャー、そういうものでその場を乗り切ってます」と答えていた。

  上原投手が言葉の壁を越え、アメリカでアスリートとして成功することを可能にした理由のひとつは、リスクを冒すことをいとわなかったからであろう。上原投手はインタビューで次のような言葉で、自ら挑戦し海外で夢をつかもうとしている日本の若い人たちを激励した。「何かしたいな、ではなくて、とにかく行ってするべきだと思います。何もやらずに後悔するなら、たとえ行って失敗してもそっちのほうが充実した日々を送れると思うので、ぜひ挑戦してほしいと思います」

上原投手のスピーチとインタビューの様子はビデオでもご覧になれます。