アメリカ外交官のトップである国務長官はどのように選ばれるのだろう。

まず大統領が国務長官に最もふさわしい人物を指名する必要がある。トランプ大統領は、エクソンモービル社の会長兼CEO職を退任したレックス・ティラーソン氏を指名した。その後、指名された人物は上院によって承認されなければならない。ティラーソン氏は2月1日に承認された。

ティラーソン長官は第69代国務長官として、初代トーマス・ジェファソンから始まる、輝かしい経歴を持つ歴代国務長官の仲間入りを果たす(歴代長官のうち2人は、異なる大統領の下で2回長官を務めた)。

ティラーソン長官のように財界出身の国務長官も何人かいた。ジョージ・シュルツは、建設会社ベクテルの社長だった。

ティラーソン長官は64歳。工学の学位を持つ初の国務長官だ。ジョン・シャーマンも、弁護士、そして上院議員になる前に、わずかな期間ではあるが土木技師として働いた。

国務省の外交資料室 (Office of the Historian) のウェブサイトに掲載されている歴代国務長官の略歴は、役職就任前およびその後にそれぞれの長官が果たした数多くの功績を紹介している。

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弁護士出身の国務長官は52人で、歴代国務長官の職業で一番多い。

歴代長官の約半数には連邦上院あるいは下院議員の経験があり、知事経験者は14人だ。

国務長官出身の大統領は6人おり、その先駆けはジェファソンだ。6人とも南北戦争以前に大統領になった。歴代国務長官のうち3人が副大統領を務め、19人が大統領選挙に出馬した。

歴代長官のうち軍の大将経験者は5人。その1人が第2次世界大戦後に欧州復興計画を手掛け、ノーベル平和賞を受賞したジョージ・マーシャルだ。エリフ・ルート、フランク・ケロッグ、コーデル・ハル、ヘンリー・キッシンジャーもノーベル平和賞の受賞者だ。

女性の国務長官は3人いる。マデレーン・オルブライト、コンドリーザ・ライス、ヒラリー・クリントンだ。全員が1990年代以降に国務長官に就任した。

国務長官の平均在任期間は3.3年だ。1869年に就任したエリフ・ウォッシュバーンはわずか11日で退任した。一方、ハルはルーズベルト大統領の下、約12年間国務長官を務めた。

ジェット機時代になると、国務長官は荷物片手に、世界各国を飛び回るようになった。ジョン・ケリーはライスの記録を更新し、在任中に91カ国を訪問し、およそ230万キロメートル移動した。ケリーの前任者のクリントンは、112カ国を訪問し、総移動距離は150万キロメートルだった。

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