アーロン・ジェシー

2013年4月26日、東京で新商品が発売された。TOMODACHIバーガーという、ウェンディーズの六本木、表参道、曙橋の3店舗で販売される期間限定メニューだ。TOMODACHI=友好の味がするバーガーとはどんなものかと思うかもしれないが、答えは簡単だ。ウェンディーズのCEO、アーネスト比嘉氏が、ジョン・ルース駐日アメリカ大使、そしてTOMODACHIイニシアチブと協力し、「TOMODACHIバーガー」という名前にふさわしい商品のレシピを一般公募するコンテストを開催した。

Tomodachi

TOMODACHI イニシアチブは、東日本大震災の発生を受け、「教育・文化交流を通して日米の次世代リーダーに投資」するために設立された官民パートナーシップだ。日米両国の協力関係が今後も長期にわたり継続されるよう、日米の若者の間で友好関係を構築、深めることを目的としている。TOMODACHIバーガーの収益の一部は、TOMODACHIイニシアチブに寄付された。レシピコンテストはこれまでにも開催されているが、アメリカ大使が審査に参加したのは今回が初めてだった。TOMODACHIイニシアチブにとっては絶好の機会となった。

Tomodachi Burger 比嘉氏とルース大使は、実用的だがおしゃれなウェンディーズのエプロンを着けて試食に臨んだ。大使は選択肢が3つしかないことを残念がり、どのバーガーもあまりにもおいしかったので、「もっと多くのTOMODACHIバーガー候補」を試食したかったと語ったほどである。結果的には、大使は3つの中から選ぶだけでも苦労していたので、試食数が少なくてよかったことになる。3つの候補はいずれも「ずば抜けて」おり、「信じられないくらい」おいしいと、比嘉氏もルース大使も絶賛したが、残念なことに大使が最優秀レシピに選べるのはひとつだけであった。味噌バーガー、バーベキュー・バーガー、すきやきバーガーのうち、ルース大使が選んだのは、自分が大好きな南部料理を思い出させてくれる味―バーベキュー・バーガーだった。おいしいだけでなく、アメリカ料理ともつながりがあることから、日米の若者たちの絆を象徴するTOMODACHIバーガーとして選ばれたのだ。大使にとって唯一残念だったのは、アメリカを代表するバーガーとしてひとつしか選べなかったことである。

Tomodachi Burger2 TOMODACHIバーガーは、「ジューシーなビーフパティをベーコン、レタス、オニオンと共にふんわりしたバンズに挟み、マヨネーズと特製バーベキューソースをかけたもの」である。レシピを考案した小野寺富保さんとその家族は、TOMODACHIバーガーの発売記念イベントに招かれ、感謝状とウェンディーズのギフト券1カ月分が贈呈された。TOMODACHIバーガーには、マクドナルドの「マックリブ」やタコベルの大人気ドリンク「バハブラスト」のような熱狂的ファンはついていないが、このバーガーのメッセージはとてもはっきりしている。TOMODACHIバーガーを食べればすぐにアメリカを思い出す。なぜか? バーベキュー・ソースと呼ばれる甘くて薫製の香りのする万能ソースを、どんな肉にもタップリかけるのはアメリカ人しかいないからだ。日本の皆さんには、TOMODACHIバーガーを味わいながら、アメリカやこのバーガーが象徴するものについて考えてほしい―ルース大使はそう考えている。

TOMODACHIバーガーの販売は6月7日で終了したが、近い将来、再登場してほしい。収益の一部がTOMODACHIイニシアチブの支援に使われるだけでなく、友情とおいしさを通じて日米の絆の構築に一役買うことができるからだ。


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アーロン・ジェシー
2013年夏、在日米国大使館報道室で短期採用されたエンディコット大学(マサチューセッツ州ビバリー)の4年生。大学での専攻はスポーツ経営学、副専攻は応用数学と経営学。家族の転勤に伴い、日本、カメルーン、米国、ドイツ、韓国、中国などで育った。