TOMODACHIイニチアチブは2013年、日本の女性の社会進出を促進するため、在日米国大使館と協力してTOMODACHI MetLife Women’s Leadership Program(TMWLP)を開始した。日本は今も女性の労働参加率が先進国の中で最も低い国の1つに数えられており、男女雇用機会均等法があるにもかかわらず本当の意味で男女平等が実施されている日本の企業は非常にまれである。このプログラムは日本における多様性を広げ、職場での女性の参画を促進し、米国と強固なつながりを持つ日本のリーダーを育成することを目指す。

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10カ月にわたるこのメンターシッププログラムでは、日本の女子大学生と中堅女性リーダーがペアを組み、次世代の日本女性リーダーになることが期待される女性たちの間でネットワークづくりを奨励する。2014-2015年のプログラムには、24校の大学とさまざまな職業を代表する82名の女性が東京、大阪、福岡、那覇から参加した。

参加者はリーダーシップ育成、ファイナンスの管理能力育成、ネットワーク構築を中心としたグループワークショップに参加した。また米国政府関係者、ビジネスリーダー、リーダーシップや女性の社会進出に関する専門家たちとのセミナーにも参加した。メンティーとして参加した1人は「メンターから自分の好きなことを追求するのが将来にとって一番良いと指導された」と述べた。こうしたワークショップやセミナーは、参加者がそれぞれの目的を達成し、各自が暮らす地域社会でリーダーとなることができるという意識を高めることを目的としている。

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さらにメンティーたちは、2015年3月にワシントンとニューヨークを訪問した。米国の女性リーダーを若い参加者に紹介し、彼女たちを激励し力づけることを目的としている。ワシントンでは米国連邦議会の女性議員やさまざまな企業や団体の女性リーダーと面談した。

米日カウンシルのアイリーン・ヒラノ・イノウエ会長をはじめ、著名な女性が参加したパネルディスカッションでは、彼女たちがこれまでたどってきたキャリアの道に関する個人的な体験談や、女性のリーダーシップ、ワークライフ・バランス、メンターシップについての話を聞いた。参加者はまた「語学指導等を行う外国青年招致事業」(Japan Exchange and Teaching Programme:JET)の同窓生と一緒にワシントン市内を観光し、TOMODACHIネットワークのメンバーの主催により市内の大学を訪問した。

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その後、一行はワシントンからニューヨークに移動し、女性がリーダーを務めるさまざまな団体の代表と面談した。ツアーがクライマックスを迎えたのは、メットライフのアメリカ本社で歴史ある役員会議室の見学や同社で最高位の職務に就いている女性によるプレゼンテーションを聞いたときだった。参加者は日本の次世代の女性リーダーになるという困難に挑戦する熱意を抱いて米国を後にした。「今回の旅行で学んだ一番大事なことは、私たちが自分自身に誇りを持つことと、女性としての自分に自信をもつことでした」と参加者の1人は語った。

プログラムの最終段階として各地のメンターとメンティーは、5月30日に東京で開催されたTMWLPの年次総会に出席した。参加者はそれぞれの功績をたたえ、このプログラムで得た経験を振り返った。会議はプログラムの成果と目標を率直に話し合う良い機会にもなった。ビジネス界からはメットライフ生命の最高経営責任者サシン・シャー、ルミナラーニングのエリザベス・ハンドーバー、ゴールドマン・サックスのキャシー・松井、シンクタンク・ソフィアバンクの藤沢久美の各氏が参加した。また安倍昭恵首相夫人も出席した。
ゴールドマン・サックスの松井氏は、自らの専門分野で卓越したリーダーとみなされており、成功へのスムーズな道があるというのは誤解であり、現実はその途中に常に障害があると語った。成功したビジネスリーダーにそれまでの道のりが一直線であったかどうか尋ねれば間違いなく否定するだろうが、成功するまでに直面するさまざまな困難が、個人的にもプロフェッショナルとしても人を成長させるという点を彼女は強調した。

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安倍昭恵夫人のプレゼンテーションはその日の午後のハイライトとなった。彼女は気品に満ち、落ち着いた雰囲気でフェミニズムと女性のリーダーシップの将来についての考えを語り、寛容性、柔軟性、エレガンスといった女性特有の資質を大切にし、いかなる形でも自分を犠牲にすることなくリーダーとしての潜在能力を最大限に発揮する志をもつべきだと説いた。参加者たちは、女性の権利の問題に熱心に取り組んでいる人物から話を聞くことができて良かったと感じ、そのアドバイスを自分たちの日常生活に生かしたいと述べた。

若いメンティーたちはキャリアを追求する新たな手段を手に入れ、一方メンターたちはメンティーから若いエネルギーをもらうことができた。このプログラムが参加者全員に長期間にわたって良い影響を及ぼすのは間違いない。「今から20年後、皆さんが後悔するのは何かをしたことでなく、しなかったことである。安全な港を出て風に乗りなさい。探求し、夢を持ち、そして何かを発見しましょう」と参加者の1人は述べた。

2014-2015 年TOMODACHI MetLife Women’s Leadership Programの卒業生は、今はもう「TOMODACHI世代」のレガシーであり、2015-16年プログラムの参加者の基準が高くなった。2015-16年プログラムにメンターあるいはメンティーとして参加を希望する場合は、6月26日まで申し込みを受け付ける。プログラムの詳細と申し込み方法についての情報はこちらから。