高地 万理子、石田 このみ 在日米国大使館 報道室インターン

 2014年2月25日、ケネディ駐日大使は就任以来初めて日本の学校を視察した。今回訪れた横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校は、平成23年度に文部科学省によってスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されており、将来の日本を担う科学技術系人材を育成している次世代先進校である。世界で通用する人材を育成するために、学校では英語を使用したプレゼンテーションスキルの養成や最先端の技術を学ぶ機会を設けている。

横浜サイエンスフロンティア高校を訪問するケネディ大使

 訪問で大使は日本の学校の授業風景を視察し、授業に飛び入り参加して直接生徒たちに質問を投げかけた。生物の授業では「何の勉強をしているんですか?」という大使からの質問に「免疫って英語でなんだっけ?」「Immunity? Immune System?」と小声で話す生徒たちに「免疫!それは大事な勉強ね。皆も健康でいてね」と声をかけるなど、緊張した空気を和ませる場面もあった。 当初予定していなかった授業訪問だったため生徒たちは緊張した面持ちだったが、ケネディ大使の気さくな様子に驚いた人が多かったようだ。

 その後、生徒と先生を交えた懇談会が開かれ、ケネディ大使は学校の特徴や生徒の英語との関わりについて熱心に聞き入っていた。大使が「留学したいと思う?」と生徒に質問すると、「アメリカの大学に進学予定だ」と自身の進路を述べる生徒がいる一方、「留学に興味はあるが、英語力に対する心配や、日本の大学とのシステムの違い、また金銭的な面での不安から留学になかなか踏み出せない」と率直な意見を述べる生徒もいた。大使はこうした生徒の発言をメモに取るなど、日本の学生が留学についてどう考えているのか真剣に聞き入っていた。懇談会終了後の記念撮影中も、大使は「好きなテレビ番組は何?」「毎日何時間勉強していますか?」など生徒たちに尋ね、日本の学生の日常生活についても興味津々な様子を見せた。生徒たちは懇談会時の緊張も解けた様子で、時折談笑しながら大使との初めての交流を楽しんだ。

生徒の話を熱心に聞くケネディ大使ケネディ大使と横浜サイエンスフロンティア高校の生徒と教員

 視察中には、女子高生3人による研究成果の発表も行われた。この学校では学生が自身の興味ある分野について研究し、壁一枚分の用紙に英語でまとめたものを1年間の研究成果として掲示している。ケネディ大使は若い高校生たちが難解な専門用語を駆使して発表する様子に時折コメントを述べながら、真剣に耳を傾けた。

 薬の保管方法による効果の変化について発表した東山瑞希さん(17)は、発表後、ケネディ大使の印象について聞かれ「発表は緊張したが、大使がたくさんうなずいてくれてうれしかった。科学の発表でも、馴染みのない古典の授業見学でもたくさん質問されていて、さまざまなことに興味を持っていてすばらしいと思った」と大使の訪問に感激した様子だった。大使は最後に、今日におけるコミュニケーションの重要性について述べ、英語教育の促進にいっそう協力したいと、抱負を語った。

プレゼンテーション横浜サイエンスフロンティア高校
横浜サイエンスフロンティア高校の学生のプレゼンテーションを聞くケネディ大使