ノエラニ・カーシュナー

きっかけは、授業での人工義手製作でした。そこからワイオミング州の女子高校生たちは、地域の高齢者に簡単に食事を配達するためのアプリ開発を思いついたのです。

彼女たちのアプリは、コンピューターサイエンスを勉強する学生対象の名誉ある「議会アプリチャレンジ賞」で、見事ワイオミング州部門優勝に輝きました。

アフガニスタン、アルゼンチン、カザフスタン、そしてニューヨーク市。世界各地で若い女性が、プログラミングやアプリ開発を勉強しています。

バッファロー高校に通うティーガン・スウェカードがアプリ開発を思いついたのは、サイエンスの授業で作っていた人工義手の制御プログラミングを勉強しているときでした。「私はネットで独学しましたが、学校でプログラミングを教わる機会がないことに気が付いたのです」

ティーガンは早速いろいろな方法を調べてみました。そこで彼女は、「Girls Who Code(プログラミング女子)」という同好会を立ち上げ、自国のNPOがオンラインで提供しているテンプレートをアプリ開発ツールとして使うことにしました。

ティーガンとアディセンの姉妹は、友だちに声をかけメンバーを集め、女子5人で活動を始めました。

Girls Who Code team that created the Meals on Wheels app: (left to right) Seren Chapin, Teaghen Sweckard, Georgia Wages, Shelbi Kovar, Addysen Sweckard (© Krista Sweckard)

ミールズ・オン・ウィールズ(Meals on Wheels)アプリを開発した「プログラミング女子」。左から、メンバーのセレーン・チャピン、 ティーガン・スウェカード、ジョージア・ウェイジズ、シェルビー・コバール、アディセン・スウェカード (© Krista Sweckard)

どんなアプリを開発するか。メンバーたちはアイデアを出し合い、「ミールズ・オン・ウィールズ(Meals on Wheels)」と呼ばれる国が支援する高齢者食事配達プログラム向けに、自分たちの地域での配達サービスを合理化するアプリを開発してみることに決めました。

彼女たちが目指したのは、「顧客情報を入手すること、配達ルートを見つけること、Googleマップを使うこと。そして、この3つのプロセスをスムーズにすること」でした。(ティーガン)

完成までの道のりは平たんなものではありませんでした。しかし、時間をかけ作り上げたアプリに満足したメンバーたちは、「議会アプリチャレンジ賞」への応募を決め、ワイオミング州部門で見事に優勝を勝ち取りました。

プログラミングとコンピュータ教育はワイオミング州の将来にとって重要な分野であり、州教育省は2018年、全学区の小中高校にコンピューターサイエンスの授業の導入を義務付けると発表しました。ワイオミング州は、コンピュータ教育を小中高校で義務付けたアメリカで最初の州になりました。

Buffalo High School Code Club lunch meeting (© Krista Sweckard)

バッファロー高校のプログラミングクラブ。ランチミーティングの最中 (© Krista Sweckard)

ティーガンの通う学校では現在、コンピューターサイエンスで初心者向けクラスに加え、飛び級クラスも提供しています。ティーガンの同好会は、名称を「プログラミングクラブ」に変更し、今では男女およそ20人のメンバーが所属しています。

「彼女たちは、プログラミング開発にありがちな考え方を変えてくれました」。こう語るのは、ティーガンとアディセンの母親でバッファロー高校の教員でもあるクリスタ・スウェカード。「プログラミングはクールなもの。そう変えてくれたのは、彼女たちなのです」