ローレン・モンセン

アメリカでの新規事業の立ち上げと登録には平均4日しかかからない。世界銀行が発表した2020年「Doing Business」報告書はそう述べています。

米中小企業庁(SBA)のアドボカシー室によると、アメリカには3070万社の企業があり、その99%が中小企業です(SBAは、従業員数が500人未満の会社を中小企業と定義しています)。

起業のしやすさは、起業家精神がアメリカ経済のバックボーンになっている理由の一つです。SBAの2019年のデータによると、中小企業は5900万人の労働者を雇用しており、アメリカの労働力の48%を占めています。

会社登録

アメリカの税法によって決められる事業構造は、企業から個人事業主(所有者が債務や義務に対して個人的に責任を負うことができるリスクの低い事業)まで多岐にわたります。パートナーシップは、複雑さという点で、この2つの間に位置します。

パートナーシップには基本的に2種類あります。リミテッド・パートナーシップ(LPs)は、1人のジェネラル・パートナーが無制限の責任を持ち、他の全てのパートナーが有限責任を持つ小規模な会社です。リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ(LLP)では、全てのパートナーに有限責任があります。賠償責任保護は、破産や訴訟に備えて、パートナーの個人資産(車、家、貯蓄口座)を保護します。

ほとんどの場合、連邦税の識別番号を取得する申告以外には、連邦政府に登録する必要はありません。州や地方政府が新会社の登録を行います。要件は州によって異なり、小規模事業者であれば全く登録の必要がない場合もあります。

スタートアップ企業の支援

スモークサーモン、クリームチーズ、ディル、オニオンが入った魚の形をしたペストリーは、シアトルのピロシキ・ピロシキ・ベーカリーの人気メニュー (© Piroshky Piroshky Bakery, LLC)

スモークサーモン、クリームチーズ、ディル、オニオンが入った魚の形をしたペストリーは、シアトルのピロシキ・ピロシキ・ベーカリーの人気メニュー (© Piroshky Piroshky Bakery, LLC)

事業の立ち上げにはリスクが伴いますが、SBAは新規参入企業がリスクを管理できるよう支援しています。SBAは、融資、融資保証、契約、カウンセリング・セッションまたは他の形態で約2000万社の中小企業を支援してきました。

今年9月22日から始まった全国小企業週間では、SBAはアメリカ50州、コロンビア特別区、アメリカの準州の各地域でSBAパーソン・オブ・ザ・イヤーを授与しています。その後、地域の受賞者の中から全米の優勝者が選ばれます。受賞は企業の宣伝に役立ちます。

今年は、シアトルにあるピロシキ・ピロシキ・ベーカリーを経営するロシア生まれの移民オルガ・サガンさんが最終選考に残っています(「ピロシキ」はロシア語で「小さなパイ」という意味)。近年、サガンさんは1店舗から4店舗に規模を拡大し、フードトラックを加え、売上を53%伸ばしました。

サガンさんは、意欲的な起業家志望の人たちにこうアドバイスします。独創的なビジネスアイデアを持ち、将来の従業員を大切にし、利益が出るまでの3年間は懸命に頑張る決意を持つようにと。

「仲間とのネットワークを作りなさい」とサガンさん。「勇気を出して」

バナーイメージ:ポピーシード・シナモンロール(左)やコーヒー・シナモンロール(右)など、手作りのロシアペストリーを提供するシアトルのピロシキ・ピロシキ・ベーカリー (© Piroshky Piroshky Bakery LLC)