リー・ハートマン

アメリカは、政府の透明性を推進する世界的な取り組みである「オープン・ガバメント・パートナーシップ」に加盟しています。現在の加盟国は78カ国にのぼります。

1月25日、ホワイトハウスのジェン・サキ大統領報道官は、今後のホワイトハウス日例記者会見にはアメリカ手話(ASL)の通訳者が出席すると発表しました。報道官は、「バイデン大統領は障害者とその家族を含め、より多くの国民が参加可能な公正で開かれた国をつくることを目指しています」と語りました。

手話通訳者がホワイトハウスの記者会見に参加すれば、耳の不自由な人でも政府の発表を直接理解できるようになります。アメリカでは、より開かれた責任ある政府を目指して、こうした取り組みが数多く行われています。

また、連邦政府は耳の不自由な人のために、全てのウェブサイトとビデオにキャプションをつけています。新政権のホワイトハウス報道発表はスペイン語にも翻訳され、@LaCasaBlancaからスペイン語でツイートされています。

さまざまな取り組みの基盤となっているのは、民主主義には開かれた政府が不可欠であり、自由な情報流通が国民の力とよりよい社会をつくるという原則です。

アメリカには国民に政府の情報を開示する方法として、次のようなものがあります。

情報自由法(FOIA) 1996年に成立した情報公開法で、誰もが連邦政府に行政記録を請求できるようになりました。請求は誰にでも可能ですが、機密指定された国防・外交情報、個人特定が可能な情報や営業機密など、公開には例外も設けられています。

情報自由法に基づく請求件数の推移(出典:米司法省)

情報自由法に基づく請求件数の推移(出典:米司法省)

サンシャイン法 1976年に成立した、行政機関の会議を公開とする法律です。不当なプライバシーの侵害を招く場合や法執行機関を危険にさらす場合など、少数の例外を除き、政府の会合を公開で行うことを定めています。行政機関は会議予定や議題項目を、開始1週間前までに公表しなければなりません。

機密解除 大統領令第13526号に基づく機密解除審査義務手続きにより、個人・企業を問わず、一部の例外を除き、国防・外交などの理由で大統領令により機密扱いとなっていた記録の機密解除・公開を請求することができます。

国立公文書記録管理局 国立公文書記録管理局はアメリカ史を形成する政府の記録を収集・保存し、連邦政府の意思決定に関する一般の理解に貢献しています。国立公文書記録管理局が運営する大統領図書館・博物館では、多数の観光客や学者などが過去の大統領について理解を深めています。

ウェブサイトCongress.gov 連邦議会は、独自のウェブサイトを使って新たに成立した法律、新規提出法案の文言をはじめ、公聴会の記録、政府の調査報告書など、立法府の日々の活動を発信しています。

議会図書館 議会図書館は世界最大の図書館です。蔵書、各種記録、写真、その他の文献は何百万にもおよび、世界中の人々にアメリカの歴史を深く学ぶ機会を提供しています。

アメリカ外交の基本原則である容易なアクセス、多様性、平等性、インクルージョンを優先するという2月4日付けの覚書でバイデン大統領は、すべての人に開かれた政府へのコミットメントを強調しました。

覚書は、「国民を代弁するアメリカの政府機関は、国内外を問わずアメリカ国民のあり方を反映する存在である」と述べるとともに、「国家安全保障上、厳しく批判的な観点を持った才能ある人材を安全保障分野に確保するため、多様性、平等性、許容性、公開性を重んじることを政権の政策とする」と明記しています。

バナーイメージ:ワシントンで記者会見に臨むホワイトハウスのジェン・サキ大統領報道官。アメリカ政府は全ての国民が政府の情報に触れられるよう、今後の記者会見には手話(ASL)通訳者を参加させる (© Alex Brandon/AP Images)