レノア・アドキンス

歴史的な出来事や、軍や民間の信念を持つ人たちによる傑出した献身は、米国で最も栄誉ある2つの賞、議会名誉黄金勲章大統領自由勲章を授与する理由となってきました。

議会名誉黄金勲章は、立法府が功績と貢献に示す最高位の感謝の表現です。この勲章は、上下両院の決議をもって授与されます。当初は独立戦争、1812年戦争、米墨戦争(メキシコ戦争)での勇気ある行動に対して米国市民に贈られました。その後議会は対象を拡大し、人道主義者、公務員、人命救助者、探検家、科学者、医療従事者、俳優、音楽家、作家が含まれるようになりました。さらに現在では、外国人も受賞の対象となっています。

議会名誉黄金勲章は、個人(最初のポリオワクチンを発明したジョナス・ソーク博士、ホロコーストの生存者で作家のエリー・ビーゼル、反アパルトヘイトの指導者ネルソン・マンデラ元南アフリカ大統領など)、団体(モントフォード・ポイント海兵隊、第2次世界大戦中のアメリカインディアン部族出身の暗号通信兵アメリカン・インディアン・コード・トーカーズ、2001年9月11日の同時多発テロの犠牲者など)、そして注目すべき出来事(初の大西洋横断飛行成功など)に関わった人々に授与されてきました。

1945年の沈没前、巡洋艦インディアナポリスで記念写真を撮る乗員 (© PhotoQuest/Getty Images)

1945年の沈没前、巡洋艦インディアナポリスで記念写真を撮る乗員 (© PhotoQuest/Getty Images)

厳粛な授与

議会は7月、巡洋艦インディアナポリスの乗員1195人に議会名誉黄金勲章を授与しました。同艦は75年前、サメが出没する海域で大日本帝国による魚雷に撃沈されました。撃沈される前、巡洋艦は米国が広島に投下した原爆の部品を運び終えていました。インディアナポリスの生存者は乗員の約4分の1でした。そのうち現在でも存命しているのは8名だけです。

退役した米海軍のウィリアム・トティ大佐は、長年に渡ってインディアナポリスの多くの生存者と知り合いになりました。議会名誉黄金勲章の授与を、生存者たちは誰も考えていなかったと大佐は述べています。「インディアナポリスの乗員の中で、自分たちを英雄という者は1人もいないでしょう」。トティ大佐は議会名誉黄金勲章授与式でこう述べました。「それでも全員が、乗員一丸となって達成できたことを誇りに思うと言うでしょう」

大統領自由勲章

1963年、当時のジョン・F・ケネディ大統領によって創設された大統領自由勲章は、民間人にとっては最高の栄誉となる米国の賞です。大統領は、米国社会に顕著な貢献をした人であれば誰にでも贈ることができます。

過去の受賞者には、公民権運動指導者マーティン・ルーサー・キング・ジュニア、バスケットボール界のレジェンド、マイケル・ジョーダン、歌手のエルビス・プレスリー、俳優のトム・ハンクス、伝道師のビリー・グラハム(全て米国人)、そしてアルバニア人のマザー・テレサらがいます。

1999年に議会名誉黄金勲章(左)、そして1996年に大統領自由勲章を受章した公民権運動家ローザ・パークス (Library of Congress)

1999年に議会名誉黄金勲章(左)、そして1996年に大統領自由勲章を受章した公民権運動家ローザ・パークス (Library of Congress)

何人かの米国人が、議会名誉黄金勲章と大統領自由勲章の両方を受賞しています。1955年に人種分離されたバスで白人男性に席を譲ることを拒否し、公民権運動の始まりに貢献したローザ・パークスはその1人です。

バナーイメージ:2004年ワシントンで議会名誉黄金勲章を授与される女性の権利擁護者・公民権運動家のドロシー・ハイト (© Stephen Jaffe/AFP/Getty Images)