ノエラニ・カーシュナー

1月26日、バイデン大統領はアメリカの人種間平等という目標を支援するため、4本の大統領令に署名しました。

署名式で大統領は、「アメリカの誓いを全ての人が受け入れられるようにしなければならない。そのためには、人種問題をある特定の省庁の問題とするのではなく、政府全体で取り組む課題にしなければならない」と語りました。

最初に署名した大統領令は、黒人系住民に不利となる住宅政策を認識したものです。

覚書によると、連邦政府は20世紀の間、住宅ローン差別や排除を組織的に支援したほか、政府の住宅政策とプログラムは意図的に黒人系住民や有色人種を排除し、住宅差別を助長・強化していたのです。

大統領は「組織的な人種差別を容認する限り、我々は苦悩することになる。これは偽らざる事実だ」と述べました。

また、組織的な人種差別と刑務所の大量収容の廃絶に向け、司法省に対して民営刑務所との契約を打ち切るよう指示する大統領令にも署名しました。

AP通信によると、現在アメリカでは、約12万5000人が連邦刑務所に収容されています。そのうち1万4000人の受刑者が民営刑務所に置かれています。

収容率は黒人の間で高く、特に高いのが黒人男性です。ピュー・リサーチ・センターによると、2018年に禁固刑となった受刑者の33%が黒人です。これは成人人口全体に占める黒人の割合12%のおよそ3倍にあたります。つまり具体的には、46万5200人の黒人が州・連邦刑事収容施設に収容されていることになります。

大統領は大統領令の中で、「収容率を下げるには、連邦政府の民営刑務所への依存を段階的に減らすことで利益追求型インセンティブを削減していかなければならない」と述べました。

残り2本の大統領令は、先住民部族との協議拡大と、人種差別、外国人排斥、アジア・太平洋諸島系アメリカ人に対する差別への不寛容を誓うものです。

署名式の最後に大統領は、「組織的な人種差別の排除に向けて前進を続け、ホワイトハウスおよび連邦政府はその取り組みの一部となることを約束する」と述べました。

バナーイメージ:1月26日、首都ワシントン。複数の大統領令に署名するバイデン大統領とその様子を見守るハリス副大統領 (© Doug Mills/The New York Times/Getty Images)