ブリンケン国務長官は10月27日、サイバーセキュリティや気候変動といった21世紀の課題へのさらなる対処のため、国務省は外交努力の転換を行っていると述べました。

長官は同日、国務省近代化プランを発表し、「我々の目の前には、歴史に残る、永続的な変化を起こす機会があり、我々はそれを決して逃さない」と述べました。

近代化プランは、国の安全保障に関する重要5分野で、国務省が専門知識と実績を強化していくことに重点を置いています。5分野とは、気候、グローバル医療、サイバーセキュリティ・新興技術、経済、多国間外交です。

発表は、バージニア州アーリントンにある外交官や国務省職員の研修所で行われました。

サイバーセキュリティ局の新設

長官は、議会から賛同を得られれば、特使を局長とするサイバーセキュリティとデジタル政策専門部署を新設したいことも表明しました。

また、人工知能(AI)、量子情報科学、バイオテクノロジーなど優先度の高い新興技術に関する国際政策の策定と調整のため、主要新興技術の担当特使を新たに任命する計画も明らかにしました。

「国民、通信網、企業、主要インフラを危険にさらすサイバー攻撃を防ぎ、インターネットが今後も学習や接続性、そして経済成長の変革を巻き起こす力になり、抑圧の手段として使われないようにしていく」と述べました。

また、アメリカが世界屈指の技術大国であることを強調し、「国務省はその長所により、大きな力を与えられるべき」と述べました。「偽情報に対抗し、インターネットの自由のために立ち上がり、監視技術の誤った使い方を減らすことで、技術が確実に民主主義のためになるようにしていく」と訴えました。

10月27日、バージニア州アーリントンの外交官研修所で、職員と研修生の前で話をするブリンケン国務長官 (State Dept./Freddie Everett)

10月27日、バージニア州アーリントンの外交官研修所で、職員と研修生の前で話をするブリンケン国務長官 (State Dept./Freddie Everett)

また、バイデン政権が気候問題を扱う専門職を、各地域局とインドやブラジルなど主要な在外公館に新設したと発表しました。

世界がコロナ禍から回復へと向かう中、将来的な健康安全保障の脅威の防止、探知、対応において、アメリカが同盟国をどのように主導し、連携していくか検討しているとも述べました。

新たな連携

ブリンケン国務長官は、アメリカは他国と連携し、グローバル経済、インターネット政策、環境保護、人権に対する共通の課題に共に取り組んでいくと改めて表明しました。

そして、「もし我々が国際的な制度に関与しなければ、そこに空白が生まれ、それをやがて我々と価値観や利益を共有しない他の誰かが埋めることになる公算が高い。誰も出てこなければ、共同行動の恩恵が無駄になってしまう」と述べています。

バナーイメージ:10月27日、バージニア州アーリントンにある外交官研修所でアメリカ外交の近代化プランを発表するブリンケン国務長官 (© Leah Millis/AP Images)