ジェイデン・トーマス ウェスタンケンタッキー大学

午前2時。オープンスペースにはブラックコーヒーの強い香りが漂い、部屋にはくぐもった話し声が響いています。コーヒーは普通、朝起きた時に飲みます。でも課題の提出期限が迫る今は、気力を充実させてくれるコーヒーをありがたく感じます。このような時間は、私にとって安らぎの源です。それはアメリカ中の多くの大学生にとっても同じでしょう。事態が手に負えなくなったとき、24時間営業のダイナーは、安価な食べ物を楽しめ頑張るための活力をくれる安らぎの場所となります。

深夜に昔ながらのダイナーを訪れるのは、アメリカの大学生活では定番の体験です。ダイナーは豪華な料理やメニューがある高級レストランではありませんが、そのことが逆に魅力の一つでもあり、シンプルで手頃な価格の料理をリラックスできる環境で提供しています。ダイナーは普通、1部屋のオープンスペースから成る小型の店舗で、厨房とそれ以外のスペースの間にバーカウンターがあるだけです。調理の様子が見えるだけでなく、スタッフと客が常に顔を合わせてやりとり出来るレイアウトになっています。

私のお気に入りのダイナーのスタッフは、いつも愛想が良く、一日を通してダイナーにやってくるさまざまな人たちを知るためにおしゃべりをします。まるで親のような親しみやすさで接してくれるので安心していられます。常連になるとスタッフは好みなどを憶えていて、よりパーソナルな体験ができます。店に入るといつも、「やぁ、いらっしゃい。いつものやつ?」と迎えてくれるのです。ちなみに私の「いつもの」メニューは、ブラックコーヒーと卵3個のオムレツです。

シロップをかけたチョコレートチップワッフル

シロップをかけたチョコレートチップワッフル

典型的なアメリカのダイナーには特有の美しさがあります。建物の外観はメタリックで、中がよく見えるように大きな窓があり、その上に大きなネオンサインがあるのが一般的です。20世紀半ばに生まれたこのスタイルも、ダイナーならではのユニークな体験の一部となっています。

ほとんどのダイナーにはジュークボックスが置かれています。お金を入れると音楽が流れるあの昔ながらのマシーンです。注文が済むとジュークボックスに行き、その場の雰囲気を盛り上げるナンバーを数曲かけるのが私のお決まりです。たいていは、60年代のオールディーズや2000年代のインディーポップなどをミックスしてかけます。ジュークボックスでダイナーのみんなが新旧の音楽を共有できるので、連帯感を感じることができます。

友達のクレアとは、待ち望んだ勉強の息抜きによくダイナーを利用します。値段が安く、フレンドリーなスタッフがいて、いつでも朝食が食べられるので、大学生にはぴったりの場所なのです。学校の課題を持っていくことが多いのですが、それはダイナーが私たちの創造性を呼び起こしてくれるからです。これを書いている今も、ダイナーで飲み放題のコーヒーを飲み、トースト付きのオムレツを食べています。まさに至福の時です。

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もちろん、いつも勉強のためだけにここに来ているわけではありません。時には何時間も友人とおしゃべりをし、一緒に楽しい時間を過ごすこともあります。行き詰まりを感じた時にはいつでもダイナーに向かいます。そこでは何時間も笑い転げ、新しい人と出会い、一生の思い出を作ることができるのです。帰る頃にはいつも気分が良くなっています。

ダイナーはアメリカ全土にあり、とても便利です。午後2時でも午前2時でも、他では味わえないカジュアルな快適さがそこにはあります。皆さんもアメリカに行った際には、ぜひこの見過ごされがちなダイナー文化を体験してみてはいかがでしょうか。

バナーイメージ:深夜でもにぎやかなダイナー