スティーブン・カウフマン

アイルランドの守護聖人を祝う「セント・パトリックス・デー」。今ではアイルランド人だけでなく、あらゆる少数民族を受け入れる日として世界各地でお祝いされています。セント・パトリックス・デーを祝う伝統的なイベントのいくつかは、実はアメリカから生まれ、世界各地へと広まりました。

記録に残る最古のセント・パトリックス・デーは、1737年にボストンで行われました。新型コロナウイルス感染症によるここ数年の混乱を経て、アメリカの多くの都市では、2023年のセント・パトリックス・デーを祝う行事が計画されています。アイルランドの首都にちなんで名付けられた「ダブリン」と呼ばれる多くの町の一つでも、アトランタ、シカゴ、ミネアポリス、セントポール、サンフランシスコなどの大都市でも、人々は本格的なパレードの復活を楽しむことができることでしょう。

1948年のセント・パトリックス・デーで、ニューヨークの5番街を行進する兵士たち (© AP Images)

1948年のセント・パトリックス・デーで、ニューヨークの5番街を行進する兵士たち (© AP Images)

よく知られているセント・パトリックス・デーの伝統は、実は多くのアイルランド国民にとって珍しいものでした。アイルランドでは1世代ほど前まで、この日を宗教的な祝日として厳格に扱っていたからです。緑色のものを身に着ける。川や噴水の水を緑色に染める。コーンビーフとキャベツを食べる。このような伝統の発祥地はなんとアメリカなのです。

アイルランド系アメリカ人がアメリカ史で放つ大きな存在感は、植民地時代までさかのぼることができます。歴史家や国勢調査局のデータからこのことを探ることができます。

  • バイデン大統領を含む歴代アメリカ大統領の23人がアイルランド系。アンドリュー・ジャクソン大統領は、アイルランド生まれの両親から生まれた唯一の大統領。
  • 1776年の独立宣言署名者のうち、9人がアイルランドからの移民またはアイルランド人移民の子孫。総司令官ジョージ・ワシントンと共に独立戦争を戦った将軍のうち、20人以上がアイルランド人。アメリカ海軍初の将校もアイルランド人。
  • アイルランドで生まれたアメリカ人19万人以上が南北戦争(1861~1865年)に従事。
  • アメリカ軍の最高位勲章である議会名誉勲章を受章したアイルランド人は253人。アメリカ以外の受賞者数で最多の国。
  • アメリカ国民の3000万人以上が、アイルランド系であると主張している。これはアイルランドの人口の6倍。
ジョージア州サバンナのパレードを観戦する人 (© AP Images)

ジョージア州サバンナのパレードを観戦する人 (© AP Images)

アメリカのセント・パトリックス・デーは、アイルランド人であるかに関係なく、あらゆる人が自分たちが思う「アイルランド」らしさを祝う日となりました。セント・パトリックス・デーでは「誰もがアイルランド人」です。

*この記事は、ShareAmericaに掲載された英文を翻訳したものです。