米国議会図書館は先ごろ、17世紀から20世紀にかけて制作された日本の浮世絵版画2500点以上から成るコレクションを一般公開しました。

Fine Prints: Japanese, pre-1915」と名づけられたこのコレクションには、日本の浮世絵界の巨匠の作品が多く含まれています。作品はオンラインで公開され、無料でダウンロードできます。広重、北斎、国芳、貞秀、芳幾といった浮世絵師たちによる、日常生活や風景、役者、外国人、日本文学や芝居を題材とした作品が揃っています。

コレクションの主な作品は以下の通りです。

雨に降られて

(Library of Congress)

この版画は、歌川国芳(1798~1861年)の「東都御厩川岸之図」です。激しい雨の中、傘を差し海岸沿いを歩く人の姿を描いています。日常のワンシーンをとらえた、19世紀の作品です。

伝説の剣士

(Library of Congress)

肖像画と風景画を組み合わせた国芳の作品に「東都流行三十六会席 向じま 宮本無三四」があります。伝説の剣士、宮本武蔵を題材にし、背景には東京・向島の庭園を描いています。この作品は、「浮き世」すなわち「憂き世」を描いた、伝統的な浮世絵と言え、西洋の印象派やポスト印象派に影響を与えました。

浮き世の美人

(Library of Congress)

女性、歌舞伎役者、庶民の英雄や自然美を愛でるのが浮世絵の伝統です。歌川国貞(1786~1864年)と歌川広重(1797~1858年)の合作「風流源氏雪の眺」は、雪景色を背景とした源氏物語の現代版で、典型的な浮世絵と言えます。ほうきを持った女性と傘を差す男性が描かれています。

日本の外国人

(Library of Congress)

日本人画家たちの興味を大いにひいたのが、外国人です。歌川貞秀(1807~1873年)の「亜墨利加女官翫板遂之図」は、アコーディオンを弾くアメリカ人女性と男性が、隣にいる大きな犬を見つめる姿を描いています。

日常生活

(Library of Congress)

自然や日本人の生活を描いた画家といえば、葛飾北斎(1760~1849年)です。「富嶽百景」は、北斎が描いた数多くの作品の中で最も有名です。「尾州不二見原」では、大きな桶の中で塗料を塗る桶職人の背後に富士山が見えます。