ギータとラヴィのパテル姉弟が監督し、数多くの賞を受賞した「ミート・ザ・パテル」は、アメリカで大きくなりつつある社会問題をテーマとした、ドキュメンタリーとナレーションで進行される部分を組み合わせた映画だ。インドからアメリカに移住してきた第一世代の両親の下で育ったギータとラヴィは、2009年初めに、自分たちの家庭における結婚に対する社会的プレッシャーを調べ、記録し始めた。インドと米国で調査した結果、根強い文化的・宗教的ルーツを持つアメリカ人の多くが、肌の色、文化、宗教、民族が違う相手との交際や結婚において心理的な葛藤を感じることがわかった。

映画の中で、アメリカで生まれ育った主人公のラヴィは、両親のアドバイスに従って自分の結婚相手を、インドの伝統的な方法であるお見合いや、インド人を対象にしたお見合いサイトに登録して見つけようとする。多くのアメリカ人が同じような経験をしている。文化的な伝統に従って両親の期待に応えようとする一方で、アメリカ人の理想である自由と多様性を大切にしたいと考えるのだ。「問題は、相手と激しく対立しながらも、なお彼らを家族の一員として認め深く愛せるかだ」。アメリカン・ビューとのインタビューで、ギータはこのように説明した。両親の考え方を尊重し、いつも自分の人生の一部であってほしいと願いながら、自分の気持ちに正直に行動すれば、育った伝統から逸脱することになる。これには身のすくむような思いがする、と彼女は語った。同時に、ラヴィとギータは、多文化社会では、変化を受け入れることが人生にとって必要で前向きなことだと強調した。

PATELS FAMILY

Photo credit: Christina House, Los Angeles Times

ギータとラヴィは昨年、「アメリカン・フィルム・ショーケース」(さまざまな賞を受賞したアメリカ映画を世界各地で上映するプログラム)の一環として、在日米国大使館が主催した映画上映会とトークイベントに参加するため来日した。2人は日本に来て、「ミート・ザ・パテル」で描かれている心の葛藤に、日本の若者も共感していることに気がついた。実際この映画には、性別、年齢、文化的背景を超えて、ほとんど誰もが共感するようだ。「映画の結婚にまつわるエピソードとは無縁の人たちでさえ、他に共感する点があったようだ」とラヴィは言う。「結局我々は皆、家族と対立しながらも、家族を愛し、受け入れ、どちらも犠牲にしないで両立させたいと思うものだ」

ギータとラヴィ、そしてちょっと変わっているけれど心温かい彼らの両親は、観客を楽しませながら、時として見落とされがちなアメリカ文化の一面を、すがすがしいほど正直に演じて、見事にコメディーとドキュメンタリーのバランスを取っているようだ。「ミート・ザ・パテル」は動画配信サービスにより、日本および世界中で視聴できる。

ギータとラヴィが愛、結婚、多様性などに関する考え方について語ったインタビューはこちら。