「チャウダー」と聞いて、皆さんはどんな料理を思い浮かべますか? アサリやハマグリなどの貝とジャガイモがたっぷり入ったクリーミーな白いスープ。そして、添えられるのはクラッカー、ではないでしょうか? このタイプのチャウダーは、ニューイングランド・クラムチャウダーとして知られており、おそらく最も一般的なタイプです。でも、今日アメリカで食されるチャウダーはこれだけではありません。アメリカ北東部は伝統的に、地域ごとにさまざまなチャウダーがあることで知られています。そして全米中のシェフが、誰もが心安らぐこの伝統的な料理の革新的なバージョンを常に生み出そうとしているのです。

そのチャウダーが、今年の「Taste of America」のテーマの1つです。10月の第1週と第2週に、アメリカの素材を取り入れた特別メニューを国内のレストランが提供します。このキャンペーンを企画するため、在日アメリカ大使館農産物貿易事務所は、アメリカの農産物供給業者と30軒のレストランと協力しています。多種多様なアメリカの食品と農産物を、日本のレストランと外食ファンに紹介するのが狙いです。

8月20日、東京・京橋の明治屋ホールで行われたTaste of Americaキックオフイベントでは、ロウリーズ・ザ・プライムリブ・赤坂の木部勝一郎料理長が、ロードアイランド風クラムチャウダーの調理を実演しました。参加したレストラン経営者、食品輸入業者、報道関係者を驚かせたのは、このチャウダーが彼らが慣れ親しんだクリーミーなものではなく、澄んだ塩味のスープだったことです。木部料理長は手を動かしながら、アメリカで働いている間にはさまざまなチャウダーを口にする機会があり、とても楽しかったと話してくれました。木部料理長によると、ニューイングランド・クラムチャウダーが白色なのに対し、マンハッタン・クラムチャウダーはトマトソースがベースなので赤い色をしているそうです。一方で、ロングアイランド風はその中間で、クリームとトマトソースが同じ割合で使用されています。

ロードアイランド風クラムチャウダーの調理を実演するロウリーズ・ザ・プライムリブ・赤坂の木部勝一郎料理長

ロードアイランド風クラムチャウダーの調理を実演するロウリーズ・ザ・プライムリブ・赤坂の木部勝一郎料理長

ほとんどのクラムチャウダーにはハマグリやアサリなどの貝か、魚やロブスターなどのシーフードが入っていますが、肉や野菜が主役となるチャウダーもあります。「チャウダー(chouder)」という言葉は、フランス語の「chaudiere(大鍋、煮込み)」が語源と考えられています。16世紀から17世紀にかけてフランスの漁師が、塩豚、堅パン、魚介類の入ったシチューを大鍋で作っていたからです。さまざまな食材が使われる今日のチャウダーは、ビスクと呼ばれる滑らかなピューレ状のスープとは対照的に、一般的には具だくさんのスープのことを指します。コーンチャウダーは、南部や中西部の州で人気があり、メキシコ風のチキンチャウダーは、隣接する南部州のスパイスからヒントを得てできた新しいスタイルのヘルシーなスープです。

Taste of Americaキャンペーンでは、参加レストランの多くが、アメリカ産の食材を取り入れた革新的なチャウダーを初披露します。日本橋のアメリカン・ビストロ・ニアは、メリーランド風のクラブスープを提供します。大きなカニの塊に加え、アメリカ産コーン、黒豚、キドニービーンズ、オールドベイシーズニング(東海岸でよく使われるハーブとスパイスをブレンドした調味料)が入ります。アクアシティお台場のロングボード・カフェからは、米ベースのクラムチャウダーです。アメリカ産のカルローズ米を使用し、アラスカ・スモークサーモンとカリフォルニアのブラックオリーブをトッピングしたカラフルな一品を考案しました。

東京ミッドタウンのボストン・オイスター&クラブ日比谷店が、伝統にこだわってアメリカ産のクラムジュースと真鱈を使用したニューイングランド・クラムチャウダーを提供する一方、タバーン・コーナーが出すのは、アメリカ産骨付き鳥もも肉に香り豊かなハーブサラダをトッピングした、スパイシーなタンドリーチキンチャウダーというユニークなスープです。

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チャウダーに加えて、今年のTaste of Americaには「私のアメリカンフード」というサブテーマがあります。シェフやレストラン経営者は、アメリカ料理について独自の解釈を提供するよう求められています。ロウリーズの木部料理長はキックオフイベントで、店の名物であるジューシーなプライムリブを使い、クリーミーなホースラディッシュとケール、そして斜め半分に美しくスライスしたゆで卵を挟んだグルメサンドイッチで、テーマの解釈を披露してくれました。木部料理長によると、アメリカ人は普段は組み合わせない素材を挟んだサンドイッチを考え出すのが大好きだそうです。そして、自らのレストランで普段使われている素材を生かしたサンドイッチを作りたかったのだと説明してくれました。

木部料理長がキックオフイベントで披露したロードアイランド風クラムチャウダーとサンドイッチ

木部料理長がキックオフイベントで披露したロードアイランド風クラムチャウダーとサンドイッチ

サンドイッチは間違いなく、アメリカ人の一番のお気に入りです。六本木のエンパイア・ステーキハウスは「私のアメリカンフード」として、模範的なアメリカン・クラブハウス・サンドイッチを提供します。同店のクリーミーなクラブ(蟹)チャウダーと相性がぴったりのこのサンドイッチは、厚切りベーコン、グリルチキン、とろけるアメリカン・チェダーチーズが特徴です。東京ミッドタウン日比谷にあるブルックリン・シティ・グリルでは、自分自身でお好みのプルドポーク・タコスを作ることができます。オリジナルスパイスを使い、じっくり調理した柔らかいアメリカン・プルドポークを客自身が裂き、レタス、トマト、サルサ、そして3種類のソースから好みのものを選んでトルティーヤに挟むのです。

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おいしい食事で重要な役割を果たすのがデザートです。アメリカの代表的なデザートと言えば「パイ」でしょう。Taste of Americaキャンペーン期間中、バビーズ・ニューヨーク全店では、ミシガン・サワーチェリーを使用したチェリーパイを提供します。キャンペーン中、甘いもの好きが見逃せないもう1つのデザートは、アメリカン・ピーナッツバター、生クルミ、有機栽培ブルーベリーをトッピングしたロングボード・カフェのパンケーキです。

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Taste of Americaは、おいしい料理とアメリカの農産物を幅広く経験できる絶好の機会です。このキャンペーンには、シンプルなハンバーガーショップから本格的なレストランまでが参加します。参加店は伝統的なアメリカ料理だけでなく、メキシコ料理、ヨーロッパの料理、そして完全菜食主義者用の食事も取り上げます。ほとんどのメニューは10月1日から14日までの提供となりますので、計画的に予定を立て参加店のオリジナルチャウダーとアメリカ料理を堪能してください。

Taste of America 2019の詳細と参加レストランについては、こちらをご覧ください。