ノエラニ・カーシュナー

国連は最新の報告書で、世界が準備できているかどうかにかかわらず、「人が作り出した気候危機が急激に加速している」と発表しました。

IPCCが公表する4本の報告書の1本目が発表されたことを受け、ブリンケン国務長官は8月9日、「国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新の報告書は、気候変動が既に危機になっていることを明確に示している」と声明の中で述べました。

2021年版報告書は、1万4000件以上の研究結果を分析した世界各国234人の科学者が執筆しており、それに基づいて地球の未来に関する結論を導いています。

最も緊急性が高い発見は、気候変動の速度は1850年以降、人的影響から劇的に変化しており、それにより地球は既に劇的かつ不可逆的な形で変わり始めており、二酸化炭素など温室効果ガスを削減する対策を早急に講じなければ、状況はさらに悪化していくという点です。

報告書の発見が強調しているのは、気候の道筋です。地球の未来図において、火事、熱波、干ばつの発生は避けられなくなっています。世界各国が協力し早急に行動をとらなければ、このような状況はますます深刻になり、広範囲に影響を及ぼし続けることになります。

特に、執筆に参加した科学者が発見したのは次の点です。

  • 報告書の作成が始まってから、10年毎に温暖化が進んできている
  • 地球の気温は、1850年から1900年の平均気温より約1℃上昇した
  • 気温上昇の速度は、少なくとも過去2000年を20年単位で見た場合、直近の50年が一番速い
  • 北極海氷はこの150年超の間で最も小さくなった
  • 海面上昇の速度は、少なくとも過去3000年の中で、最も速くなっている
  • 世界各地の氷河は少なくとも過去2000年において前例のない速度で縮小している

また、世界は今後数十年で、気温が1.5℃上昇する状況へと突き進んでいます

温暖化を抑えることで、最悪の気候の変化を食い止めることができます

  • 生命を危険にさらす熱波で苦しむ人を減らす
  • 今後数百年から数千年にかけて海面の上昇度合いを抑える
  • 乾燥地域での干ばつの深刻度を軽減する
  • 絶滅に直面する動植物の種を最小限にする
  • 世界各地でサンゴ礁の死滅を防ぐ

このような問題の軽減に向け、世界各国は気候危機に一丸となって取り組まなければなりません。

2019年3月22日に撮影されたモザンビーク・ニャマタンダ。サイクロン・イダイにより道路が崩落した。海水気温の上昇により、サイクロンの勢力が増した (© Tsvangirayi Mukwazhi/AP Images)

2019年3月22日に撮影されたモザンビーク・ニャマタンダ。サイクロン・イダイにより道路が崩落した。海水気温の上昇により、サイクロンの勢力が増した (© Tsvangirayi Mukwazhi/AP Images)

ブリンケン国務長官は、「各国がイギリス・グラスゴーで開催される第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に向け準備を進める中、この報告書は、私たちは科学に基づいて行動しなければならないことを痛切に再認識させる。今この瞬間、各国首脳、企業、そして個人が緊急性をもって行動し、この10年、そしてその先で地球とその未来を守るためすべきことをしなければならない」と述べました。

バナーイメージ:ユタ州コリン近郊で8月2日撮影されたグレイトソルト湖を横断する舗装線路。アメリカ西部では干ばつが深刻化しているため、グレイトソルト湖の水位はかつてないほど低下した (© Justin Sullivan/Getty Images)

*この記事は、ShareAmericaに掲載された英文を翻訳したものです。