サイト・サーカン・ガーブズ

アメリカに来ているウクライナの交換留学生は、戦禍の中にいる祖国の家族を心配しながら、アメリカの生活を学んでいます。

アメリカ各地にいる2021学年度の留学生たちは、自分たちが一変した故国に帰ることになるだろうと明確に理解しています。

国務省が実施する「未来リーダー交換留学プログラム(FLEX)」でアメリカの高校に留学し、1年間ホストファミリーと生活する4人のウクライナ人留学生を紹介します。

留学先の学校や地域では、留学生たちがウクライナに関する報道に対処し、そこから前進できるよう手を差し伸べています。

ソニア・ヴォイテンコ

ソニア・ヴォイテンコ(16歳)は、人口26万人のウクライナの都市、スミ出身です。ノースカロライナ州の人口わずか700人の海沿いの町に留学しています。しかし、そこでの暮らしが大きく変わりました。

スミはロシアとの国境に近いウクライナ北東部にあります。ソニアは、地元紙のオクラコーク・オブザーバーの取材で、スミがハルキウとキーウを攻めるロシア軍の拠点となったため、両親と妹は故郷から避難したと語りました。

故郷の状況はある晩、一変しました。

「その時友だちとメールをしていたら、『ちょっといい? 今戦争が始まった」とメッセージがありました。震えが止まりませんでした。不安になり、両親に電話をしました」

ソニア(前列右端)。オクラコーク・レディ・ドルフィンズのチームメートと一緒に。2月24日の最終戦の後に撮影 (© Connie Leinbach/Ocracoke Observer)

ソニア(前列右端)。オクラコーク・レディ・ドルフィンズのチームメートと一緒に。2月24日の最終戦の後に撮影 (© Connie Leinbach/Ocracoke Observer)

ソニアは8月にノースカロライナ州アウターバンクスにあるオクラコークにやってきました。地元の海岸、漁業が盛んな地域の人たちと触れ合い、町のいたるところで感じるヒスパニックの遺産を楽しんでいると言います。

町は3月、ウクライナにいるソニアの家族のため募金活動を行い、ソニアが家族支援のための寄付金を受け取ることができるようホストファミリーが銀行口座を開設しました。

「オクラコークの人たちはとても熱心に支援してくれます」とソニアは言います。

ダイアナ・ヘラシム

ダイアナ・ヘラシム。バーモント州ミドルベリーにあるミドルベリーユニオン高校に通う交換留学生 (© John S. McCright/Addison Independent)

ダイアナ・ヘラシム。バーモント州ミドルベリーにあるミドルベリーユニオン高校に通う交換留学生 (© John S. McCright/Addison Independent)

ダイアナ・ヘラシム(16歳)の夢は、外交官になることです。すでに、ウクライナ語、ロシア語、英語を話し、今後はスペイン語と中国語の習得を目指しています。

ダイアナがアメリカの生活を体験している場所は、バーモント州ミドルベリーです。ここでホームステイをしながら高校に通っています。

「地元の人たちの支援に心から感謝しています」と地元紙、アディソン・カウンティー・インデペンデントの取材で語りました。

故郷はウクライナ南部の都市、ヘルソンです。ウクライナにはまだ父親と兄が残っており、安全に母国に戻れる日がきたら2人に再会することを待ち望んでいます。

既に親善大使としても活躍しています。アメリカの学生にウクライナの生活について話をしています。

そして、「私のここでの役割は、ウクライナで起きていることを知ってもらうこと。ウクライナは強い国。私たちは闘う」と言います。

アンヘリーナ・ネブメルジスカ

左:アンヘリーナ・ネブメルジスカ。ミネソタ州ブレイナードにあるTシャツ販売店Minnesota T’sで注文したウクライナ支援Tシャツとともに。右:カルパティア山脈をバックに撮影 (Courtesy of Anhelina Nevmerzhytska)

左:アンヘリーナ・ネブメルジスカ。ミネソタ州ブレイナードにあるTシャツ販売店Minnesota T’sで注文したウクライナ支援Tシャツとともに。右:カルパティア山脈をバックに撮影 (Courtesy of Anhelina Nevmerzhytska)

アンヘリーナの両親は軍医であるため、ウクライナを離れるつもりはありません。

「ロシアが軍関連施設を標的にしているので、とにかく怖い」。地元紙、モリソン・カウンティー・レコードの取材で、こう語ります。また、キーウに住む親戚は無事脱出することができたと言います。

アンヘリーナは、ポーランドに近いウクライナ北西にある人口20万人の都市、ルーツク出身です。現在はミネソタ州フォートリプリーに留学しており、家族とルーツクの人たちを支援する方法を探していました。

そこで彼女は、学校の先生の力を借り、「Stand with Ukraine(ウクライナと共に)」と書かれたTシャツを作り、ウクライナ支援を訴える募金活動を始めました。収益金はウクライナの非営利団体に寄付されます。現在まで3700ドルを売り上げ、支援が必要とされるあらゆる場所に収益金を送る計画です。

また、このことが他の人たちが行動するきっかけとなることも願っています。「見知らぬふりをしてほしくない」とアンヘリーナは言います。

スビトラーナ・ネロブニア

ウクライナの国旗を持つベロニカ・デメンチェワ(左)とスビトラーナ・ネロブニア(右)。ハートポーズをするクラスメートと一緒に (Courtesy of CIVA Charter High School)

ウクライナの国旗を持つベロニカ・デメンチェワ(左)とスビトラーナ・ネロブニア(右)。ハートポーズをするクラスメートと一緒に (Courtesy of CIVA Charter High School)

スビトラーナ・ネロブニア(16歳)は、キーウから120キロ離れた小さな町、ズリヴァカで暮らす家族を心配しています。コロラド州の同級生たちは、そんな彼女を応援しています。

スビトラーナは地元紙、コロラド・スプリングス・ガゼット紙の取材に、同級生たちが彼女のロッカーを飾りつけ、SNSでメッセージを寄せてくれたことを述べ、「自分は1人じゃないと感じた」と話します。

スビトラーナが通うコロラドスプリングスのCIVAチャーター高校には、もう1人のウクライナ人留学生、ベロニカ・デメンチェワもいます。校名のCIVAは、Character(人格)、Integrity(誠実)、Vision(ビジョン)、Arts(芸術)を表しています。

エリーゼ・ロビンソン教頭は、「私たちの学生は連帯の考えを受け入れ、支援の手を差し伸べています。学生たちを誇りに思います」と述べました。

バナーイメージ:ソニア・ヴォイテンコ(右)はノースカロライナ州で学ぶ交換留学生。先月はウクライナにいる家族のために募金活動を行った (© Connie Leinbach/Ocracoke Observer)