リー・ハートマン

アメリカ政府は、新疆ウイグル自治区内で見られる強制労働や他の人権侵害のリスクから、同地区にサプライチェーンを持つ、あるいは投資をしている企業を守る勧告を強化しています。

ブリンケン国務長官は、7月13日に発表した声明で、「最新の勧告書は、新疆ウイグル自治区および中国全域で強制労働や他の人権侵害に加担している団体を鑑み、同地区と結びつきのあるサプライチェーンや投資実績を持つ企業に対するリスクを高めた」と述べました。

7月13日、国務省他5つの政府機関は、新疆ウイグル自治区のサプライチェーン事業に関する勧告を発表し、企業に対して、新疆ウイグル自治区での中国政府による虐待と結びつきのあるサプライチェーンには法的、経済的、かつ評判を落とすリスクが伴うと警告しました。新疆ウイグル自治区から製品を調達する企業は、アメリカの法令に違反する可能性が高いとも指摘しています。

国務長官は、アメリカおよびパートナー諸国は、新疆ウイグル自治区内の強制労働、人道に対する罪、ジェノサイドにおいて中国の責任を追及をしており、今回の勧告はこのことに関連していると述べました。

今回の勧告は、2020年7月1日の勧告を更新したものになります。

中国政府は、少なくとも2017年3月から、大多数がイスラム教徒であるウイグル族および新疆ウイグル自治区に住む少数民族や宗教的少数派への抑圧政策を行っています。

中国政府は、100万人超を強制収容所に送ったり、農業、鉱業、再生エネルギー、繊維業などの分野で、幅広い監視および国家ぐるみで強制労働を行うなどの罪を犯しています。最新の勧告書は、中国に本社を持つ多くの企業が、このような中国政府の犯罪に加担していると警告しています。

アメリカ政府は企業や投資家に対して、サプライチェーンおよび新疆ウイグル自治区と関係のある企業や製品に関する取引の見直しを求めています。強制労働を用いる、監視に携わる企業に技術を提供する、あるいは抑圧を可能にする団体に出資している中国企業との取引をやめるよう警告しています。

勧告書は、企業、研究者、投資家などに対して、「人権侵害に関与する新疆ウイグル自治区、あるいは同地区とつながりのある団体や個人と関わることは、評判を落とし、経済的、法律的にも大きなリスクを伴うことを理解すべき」とも警告しています。

また、監視技術にデューデリジェンスを行うガイダンスを提供し、中国の人権侵害を抑止するアメリカ政府の取り組みに関する情報も更新しました。最新版には、人権侵害を行った中国政府の役人に対する制裁、強制労働に依拠する製品の輸入の禁止を定めた1930年関税法307条の施行などが含まれます。

バナーイメージ:アメリカ政府は企業に対して、新疆ウイグル自治区の出身者による強制労働がサプライチェーンに含まれないよう求めている。外国人記者向けの政府主催の視察ツアー中に見られた新疆ウイグル自治区の労働者 (© Mark Schiefelbein/AP Images)