リー・ハートマン

第5世代のワイヤレス技術は変革を起こす力があり、産業の構造を変える可能性を秘めています。遠隔医療から自動運転車、また電気供給網や給水系統などの重要なサービスで、5Gは私たちの生活のあらゆる部分に及ぶ可能性を秘めています。

ただし、5Gの機器やソフトウェア企業が、国家安全保障、市民や知的財産権者のプライバシーや人権を脅かすことはないと、我々が信頼できなければなりません。

そのため米国は、5Gセキュリティに関して明確な方針を持ち、各国と協力して安全な5Gインフラの開発・構築に取り組んでいます。米国は融資ツールと技術的な専門知識を提供することで、信頼できない中国の通信会社や不透明で問題のある中国の融資に頼ることなく、各国が5Gインフラを構築できるようにします。

米国は安全な情報通信技術インフラへの民間部門の投資を促進し、オープンで相互運用性があり、信頼性の高い安全なデジタル経済を促進するため、「デジタル連結性サイバーセキュリティ・パートナーシップ」を立ち上げました。

マイケル・R・ポンペオ米国務長官が立ち上げたこの取り組みは、米国国際開発庁(USAID)、米国国際開発金融公社(DFC)、米国輸出入銀行、米国貿易開発庁、連邦通信委員会などの省庁間連携によるものです。

この取り組みの下で米国政府は、各国が5G技術を安全に展開すると同時に、接続性の向上によってもたらされる多大な経済的機会を活用できるよう、研修と技術的助言を提供しています。

4月29日、データを安全かつプライベートに保つ「クリーン・パス・イニシアチブ」を紹介するマイケル・R・ポンペオ国務長官 (© Andrew Harnik/AP Images)

4月29日、データを安全かつプライベートに保つ「クリーン・パス・イニシアチブ」を紹介するマイケル・R・ポンペオ国務長官 (© Andrew Harnik/AP Images)

米国は、華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)といった中国共産党の支配下にある企業など、信頼できない業者の機器を使って自国の通信インフラを構築する危険性について各国に警告してきました。

中国では企業が国の諜報機関に協力するよう国内法で義務付けられており、中国で構築された5Gネットワーク上の全てが危険にさらされています。米国や他の法治国家とは異なり、中国政府がデータを要求した場合、企業が顧客を保護するために訴えを起こすことのできる独立した裁判所が中国にはありません。

米国は、クリーン・ネットワーク・イニシアチブを通じて、信頼できる業者の電気通信機器のみを使用するよう各国に働きかけています。このイニシアチブは、国際的に受け入れられているデジタル信頼基準に根ざしており、中国共産党などの悪質な行為者によるデータプライバシー、セキュリティー、人権に対する脅威に対処するよう設計されています。

中国政府は、5Gネットワークの構築に関し、華為技術はじめ中国企業への支援を非常に積極的に行っています。国務省によると、中国政府は華為などの中国企業に資金を提供し、戦略的外交政策の一環として利用しています。

これらのプロジェクトは「競争相手より価格を下げ、外国市場により深く浸透するため、国有銀行から巨額の融資枠と寛大な猶予期間付きの長期融資で政府から補助金を受けている」。米国務省国際安全保障・不拡散担当クリストファー・アシュリー・フォード国務次官補は2019年にこう説明しています。

米国は、安全性と信頼性を確保するため、開発途上国の5Gネットワーク構築に向けた取り組みに資金を提供し支援しています。

DFCのアダム・ベーラー最高経営責任者は、「安全で信頼できる通信回線がある発展途上国においてDFCとUSAIDは、その地域でビジネスを展開しようとする米国企業のコスト削減とリスク軽減に役立つ融資や保険ツールを提供しています。これらのツールをクリーンネットワークサービスへのコミットメントと組み合わせれば、成長の大きな契機となります」と話します。

米国務省経済成長・エネルギー・環境担当キース・クラック国務次官は、「クリーンネットワークへの参加決定は、その国が信頼できるパートナーで、投資に最適な場所であると民間部門に強力なシグナルを送ることになります」と付け加えました。

バナーイメージ:ビジネスの手法を変える5Gネットワークの安全な構築を各国で支援する米国 (© Shutterstock)