デーブ・レイノルズ

アメリカとアジアでワクチン開発が進み、新たな治療オプションの治験が実施される中、アメリカの科学者たちが新型コロナウイルス対策に全速力で取り組んでいます。

今月、この迅速な対応に追い風が吹きました。トランプ大統領が新型コロナウイルス(COVID-19)対策として83億ドルの連邦資金を拠出する法案に署名、法律が成立しました。連邦政府機関および民間のパートナー企業はこの資金を活用して、ワクチン生産と新たな治療法の確立に迅速に取り組むことができるようになります。

3月11日、トランプ大統領は国民向けの演説の中で、「これらの治療は、ウイルスの影響と感染力を大幅に軽減する」と述べ、「検査および検査能力は日々急拡大しており、我々は猛スピードで前進している」と国民に訴えました。

国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は3月の議会証言で、ワクチンの初期段階の開発が「これまでにない」スピードで進んでいると述べました。しかし、安全で効果的なCOVID-19のワクチン開発には、1年から1年半かかると慎重な見通しを示し、「ワクチンが安全かつ有効であることを確認する必要がある」と証言しました。

ワクチン開発が進行する中、アメリカでは新たな治療法の確立や患者の命を救い、ウイルスを抑え込む検査を拡大する官民連携の動きも広まっています。

新型コロナウイルス対策の現在進行中の取り組みをいくつかご紹介します。

ワクチン

COVID-19対応について3月、議会証言する国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の所長アンソニー・ファウチ博士(© Patrick Semansky/AP Images)

ファウチ所長は、多くの候補ワクチンが現在開発されており、最初の候補の試験を今後2カ月内に開始すると述べました。マサチューセッツ州に拠点を置くバイオテクノロジー会社モデルナは2月、同社が開発したmRNA-1273の初の試験用サンプルをNIAIDとアメリカ国立衛生研究所に出荷しました。

メリーランド州ゲイサーズバーグにあるバイオテクノロジー会社ノババックス社は3月10日、臨床試験用の有力ワクチンを複数準備しており、数カ月内に第1相試験を開始する予定と発表しました。

治療

ワクチンの安全性と効果を調べる試験が進む中、アメリカの企業は感染者の治療法の確立にも精力的に取り組んでいます。カリフォルニア州に拠点を置くギリアドは2月下旬、COVID-19の新治療薬レムデシビルの治験をアジアとアメリカで開始しました。4月までに中国の治験結果が判明すると期待しています。

シアトルのビル&メリンダ・ゲーツ財団は3月12日、COVID-19用のワクチン投与装置の開発を促進する助成金としてイノビオ・ファーマシューティカルズに500万ドルを支給しました。イノビオは4月にINO-4800ワクチンの試験を開始する予定で、装置はこのワクチンを投与するためのものです。小型の装置で、年末までに製造を開始する計画です。

検査

アメリカの企業はまた、COVID-19の感染有無を調べる検査の迅速化にも取り組んでいます。アメリカ保健・福祉省(HHS)は、1日当たりの検査能力が1000件で3時間以内に結果がわかる初の高処理診断テストの開発に資金援助を行います。

HHSの生物医学先端研究開発局(BARDA)は3月9日、新たな検査プロセス開発を支援するため、マサチューセッツ州に拠点を置くホロジックに69万9000ドルの助成金を支給すると発表しました。この検査の準備は数週間内に完了し、アメリカ食品医薬品局の緊急使用許可の対象になる可能性があります。

BARDAのリック・ブライト局長は、「臨床医と患者が感染を適切に処理し、COVID-19の感染拡大を軽減するには、初期の迅速な診断が不可欠」と訴えました。