アメリカ政府は、新型コロナウイルス感染症から気候危機にいたる喫緊のグローバル課題に立ち向かおうと、インド太平洋のパートナー諸国と連携しています。

ウェンディ・シャーマン国務副長官は9月2日、南カリフォルニア大学アネンバーグ・コミュニケーション・ジャーナリズム学部のパブリック・ディプロマシー・センターで講演を行い、アメリカは「活力にあふれた成長を続ける」インド太平洋諸国との長きにわたるパートナーシップを重視していると述べました。

「アメリカが太平洋国家であることは忘れられがちですが、太平洋上にあるという地理的な要因だけでなく、経済、文化、歴史、そしてアジア太平洋地域で深い同盟関係やパートナーシップのつながりを築いていることから、紛れもない太平洋国家です」と述べました。

アメリカはインド太平洋のパートナー国と、現代の課題に立ち向かうため次の分野で協力しています。

  • より強じんなサプライチェーンの構築
  • 世界的な健康安全保障の向上
  • 雇用と機会の創出
  • 気候危機への対応

シャーマン国務副長官は、国連や世界銀行といった国際機関が、世界大戦や世界恐慌、1918年のスペイン風邪流行の後に、世界を安定へと導いたことを評価し、平和と安定にとって国際協力が不可欠であることを強調しました。

また、安全で繫栄した未来をつくる上で、ルールに基づいた国際秩序が不可欠である点も擁護し、「インターネット上でも戦場でも、国際関係、貿易、商業の管理で透明性のある、一貫した合意に基づくルールを持つこと。これこそが、公平の真の定義」と述べました。

国務副長官はこの数カ月間、インド太平洋地域へ外遊し、タイ、インドネシア、モンゴル、日本、韓国の政府関係者と、気候危機、コロナ対策支援、コロナ後の経済復興など共通の優先問題について協議しました。

9月2日には、インドのハーシュ・シュリングラ外務次官と会談し、クワッド国との連携を通じた協力の拡大を協議しました。クワッドは、アメリカとインドの他、オーストラリアと日本が参加する4カ国の枠組みで、民主主義の擁護とインド太平洋地域の繁栄の促進に取り組んでいます。

クワッドは、インド太平洋地域で新型コロナワクチン接種をさらに加速するため、2022年末までに、少なくとも10億回分の安全で効果的なワクチンの製造、供給、そして財政支援を実施します。

また、シャーマン国務副長官は、ルールに基づいた国際秩序を無視し、他国を抑圧し、人権侵害を行う中国を非難し、アメリカと同盟国が共有する価値観に相反する中国の行動に対して、アメリカは引き続き立ち向かっていくとも述べました。

一方、気候危機や世界の健康安全保障といった分野では、可能な限り中国との協力を求めていくと述べ、他国が米中両国との連携を模索している可能性への認識を示しました。

国務副長官は、「アメリカは他国に対して、アメリカか中国のどちらかを選ぶよう求めているわけではありません」と述べ、学生に対して、国が直視しなければならない課題、そしてその対処法を一番よく分かっているのは学生であることが多いとも伝えました。

そして、「皆さんの多くが熱意をもって取り組んでいる気候変動、公衆衛生、人種とジェンダーの平等、人権と言った問題は、ますます外交の最前線を占めるようになっており、今後も引き続き最優先課題として定着していくでしょう」と述べています。

バナーイメージ:9月2日に南カリフォルニア大学パブリック・ディプロマシー・センターで開催されたオンラインイベントに首都ワシントンから参加したシャーマン国務副長官 (State Dept./Freddie Everett)