プラスチック汚染は、遠く離れた南極大陸に住む動物の胃袋からアフリカのサヘル地域の森やヒマラヤ最高峰の山々にいたるまで、地球上のあらゆる場所に影響を与えています。プラスチックが分解するには数百年かかると言われています。

世界では年間2億7200万トンのプラスチックごみが排出されています。これは地球上の全人口の体重に匹敵します。このうち700万トン強が海へと流れ出ています。

アメリカでは、地球規模でプラスチック汚染を削減するための官民連携が進んでいます。

プラスチック汚染対策で世界をリードする

国務省は、国連のパートナーと連携し、国連環境総会でプラスチック汚染に関する国際協定作りに向けた交渉を始めました。海洋国際環境科学局のモニカ・メディナ国務次官補は、「プラスチック汚染は、環境、食糧安全保障、海上交通、観光、経済的安定、資源管理、そしておそらく人間の健康に影響を与える国際問題」と指摘し、「プラスチック汚染、特にプラスチックによる海洋汚染に、政治的境界は無関係だ。この問題に対応するには国際的協調が不可欠」と述べました。

国務省は環境保護庁(EPA)と連携し、陸上の海洋プラスチック汚染源対策といったごみ管理能力の強化で、中米諸国およびドミニカ共和国に支援を提供しています。EPAもまた、海洋プラスチックごみに取り組む非政府組織(NGO)に数百万ドルを助成しました。

積極的にかかわる民間団体

2020年8月、エレン・マッカーサー財団が世界中で進めるプラスチック協定ネットワークの一環として、米プラスチック協定が制定されました。目的は、使用済みプラスチックを新しいプラスチックとして代用する循環型経済に向けた道筋を作ることです。

この協定には、アメリカ国内のプラスチック包装事業者の3分の1が参加しています。

ニューヨーク市は2018年、バー、飲食店、カフェでのプラスチック製ストローとマドラーの使用禁止に向け動いた (© Barbara Woike/AP Images)

ニューヨーク市は2018年、バー、飲食店、カフェでのプラスチック製ストローとマドラーの使用禁止に向け動いた (© Barbara Woike/AP Images)

プラスチック協定は2021年6月、2025年までにプラスチック汚染の削減を目指すための4つの目標を掲げました。

  • 2021年までに問題のある包装あるいは不必要な包装をリスト化し、2025年までにそれらを除外する対策をとる​
  • 2025年までにプラスチック包装の再利用、リサイクル化、堆肥化の100%を実現する ​
  • 2025年までにプラスチック包装の50%を効果的にリサイクル化あるいは堆肥化するため、意欲的な行動をとる
  • 2025年までにリサイクル含有率あるいは責任ある方法で調達されたバイオマス含有率を平均30%にする​

プラスチック協定は1月、再利用、リサイクル、堆肥化ができないPVC(ポリ塩化ビニル)やPFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)、PETG(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)といった化学物質に加え、問題があるプラスチックのリストを発表しました。ストローや食器、マドラーなどが対象となります。協定加盟業者は2025年までに、このような製品の代替品に関する指針を作成することになっています。

リサイクリング・パートナーシップのサーキュラー・ベンチャーズ担当副社長、サラ・ディアマンは、「包装の高度化やリサイクル方法の向上、そしてプラスチックごみの削減におけるプラスチック協定の取り組みにより、結果的にシステム全体、またあらゆる材質に恩恵が生まれている」と述べています。

バナーイメージ:2015年、ケニアのナイロビでビーチサンダル製造で残ったプラスチックの山で遊ぶ子どもたち (© Ben Curtis/AP Images)