リー・ハートマン

2018年、ルシャン・アッバスは、行方不明の義理の両親、おい、めいを探すため声を上げました。親族たちはおそらく、中国政府による一連の強制収容所と強制労働プログラムの中に消え去ったと考えられています。

それから6日後、政府系病院で医師として働く姉のグルシャン・アッバスとおばの2人が新疆ウイグル地区で消息不明になりました。そして、3年以上が経った今なお、グルシャンは中国政府に拘束されたままです。

「朝起きて最初に考えるのは姉のこと。そして寝る前も姉のことを考えずにはいられません」。アッバスは、今年2月にベルギー・ブリュッセルにあるヨーロッパ民主義財団(European Foundation for Democracy)で上映されたドキュメンタリー映画「イン・サーチ・オブ・マイ・シスター(姉を探して)」の中で、このように語りました。「私の役目は、自分の力で、姉のように自由を奪われた人たちを救うこと」

中国政府は2017年から100万人以上のイスラム教徒のウイグル、カザフ、キルギス系住民と少数民族を拘束しています。アッバスの姉はその1人です。

アッバスは、首都ワシントンに拠点を置くNPO「キャンペーン・フォー・ウイグルズ(C4U)」の創設者で、中国政府の弾圧を受ける少数民族の人権擁護に取り組んでいます。映画はアッバスの姉と拘束されているウイグル人の釈放を求める家族の苦しみを取り上げています。

2021年2月、中国内で拘束されている親族の情報を求め、在トルコ中国大使館の前で抗議デモを行うウイグル人 (© Esra Hacioglu/Anadolu Agency/Getty Images)

2021年2月、中国内で拘束されている親族の情報を求め、在トルコ中国大使館の前で抗議デモを行うウイグル人 (© Esra Hacioglu/Anadolu Agency/Getty Images)

中国国外に住む多くのウイグル人も、拘束されている親族の自由を求め、WhereIsMyFamily.orgFreeMyMom.orgといったサイトで問題提起を行い、ハッシュタグ#MeTooUyghurをつけ、写真を投稿しています。

「私が知っている人は、ほぼみんな強制収容所に入れられました」。カマトゥルク・ヤルクンは、2019年のニューヨーク・タイムズ紙の取材にこのように語りました。父親は2018年、新疆で投獄されました。2008年、当時17歳だったヤルクンは北京夏季オリンピックで聖火ランナーとして走りました。現在は、ボストンに住んでいます。

「私ができることは、父を助けるために行動を起こすこと、そして強制収容所に入れられている何百万人ものウイグル人を助けるため何かをすることです」と語りました。

かつて収容所に入れられていた人たちは、そこでは棄教と文化放棄を強要されたと言います。また、拷問や強制不妊手術といった残虐行為を報告した人もいます。新疆、そして中国全土で、ウイグル人や他の少数民族は強制労働、大規模監視、迫害に苦しんでいます。

2年以上にわたり行方を捜していた姉についてアッバスは、非公開裁判にかけられ、テロ罪で20年の懲役刑を受けたことを2020年12月25日に知ったと言います。家族は、人命を救うために働いてきた元医師の姉に対する罪状は「ありえない」と言います。

今年初め、アッバスは、ベルギー、クロアチア、チェコ、ドイツ、スロバキア、オランダを訪問、中国政府が恣意的に拘束したウイグル人への支援を呼びかけました。政府関係者、宗教指導者、ジャーナリストとも面会し、欧州議会に対して、中国政府がウイグル人虐待から利益をあげることを防ぐ法案を可決するよう訴えました。

アッバスは、「ヨーロッパは、ウイグル人へのジェノサイドとの闘いで不可欠の仲間。中国共産党の責任を追及できる国際有志連合の構築には、ヨーロッパの支援国の協力が必要」と訴えました。

「私は、自分の人生を、姉、そして中国共産党によるジェノサイドのような残虐行為で苦しむ何百万人もの人たちの権利を訴える活動に費やしていきます。姉の失踪が、私の正義を探す活動の原動力になっています」

バナーイメージ:ルシャン・アッバス。中国で拘束されている姉のグルシャン・アッバスとウイグル人の人権擁護活動を行っている (© Jacquelyn Martin/AP Images)

*この記事は、ShareAmericaに掲載された英文を翻訳したものです。