レノア・アドキンス

アメリカの高校のサイエンスフェアは、子どもたちがお互いに競い、創造力を高めながら科学・技術・工学・数学(STEM)分野での学びを探索する重要な場となっています。

子どもたちはサイエンスフェアを通じて、STEM分野で学んだことを革新的な形で応用していきます。まず好奇心を持つことから始まり、そして社会にある喫緊の課題にどう対応していくのかを見つけ出していくことにもつながると、自治体や地域の中高生サイエンスフェアの審査員を20年にわたり務めてきたハルシニ・ムクンダンさんは言います。

微生物学者であり、ロスアラモス国立研究所の化学部門で副リーダーを務めるムクンダンさんは、「子どもは自分で関心のあるトピックを決め、好きなようにそれを探求するもの。科学分野への好奇心は小さい頃に芽生えます。それを育て、励ましていく必要があります」と言います。

生物学や化学、物理学を教室で学び、三角法や微積分といった概念について考える子どもにとって、このような学問が実際の生活の場面でどのように役立つかを思い描くのは簡単なことではありません。


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サイエンスフェアでは、子どもたちがSTEM分野で学んだことを実生活に応用することが可能です。また、解決策にたどり着くために、さまざまな学問を集結させる場でもあります。例えば、言語スキルを身に着けることは、プロジェクトをきちんと発表し、発見したことを審査員に伝えるという点で重要だとムクンダンさんは言います。

「(学問の一つ一つは)小さな泡のようなものであり、実際の問題解決にはこのような学問を合わせてあたらなければなりません」(ムクンダンさん)

彼女は感染症治療の研究者です。この中には新興感染症も含まれます。子どもの頃におたふくかぜにかかったこと、そして家族がはしかやみずぼうそうにかかったことが感染症に興味を持つきっかけとなり、今の職業につながりました。

インドで育ったムクンダンさんは、現地のサイエンスフェアに参加し、それを課題の解決方法を考える場としてとらえていました。サイエンスフェアとは、学んだことを応用しながらも、問題を型にとらわれることなく考えるよう背中を押してくれる場所だと言います。

ムクンダンさんは子どもたち全員に、芸術や人文学系にひかれていても、科学を考慮すべきと言います。「科学とは芸術であり、多くの独創性、想像力、革新力、創意工夫、そして発想力を要する学問だからです」

バナーイメージ:ハルシニ・ムクンダンさん。ロスアラモス国立研究所で働く微生物学者。長年にわたり中高校生のサイエンスフェアの審査員を務める (Courtesy Los Alamos National Laboratory)