ローレン・モンセン

アメリカの大学に留学予定の皆さん、「伝統的黒人大学(HBCU)」を検討してみませんか。今日のHBCUはあらゆる人種や国籍の学生に門戸を開いており、黒人学生が多数派でない学校も少なくありません。

多くの留学生は社会正義に強い信念を寄せるHBCUにひきつけられ、自らを力強い歴史的遺産の一部として投影する学生も増えています。

ほとんどのHBCUは、かつて奴隷制度を支持していた南東部の州にあります。南北戦争以前に設立された大学はわずかで、多くが南北戦争後に設立され、黒人の教育の場となりました。

リンカーン大学、ハワード大学、モアハウス大学、スペルマン大学といった大学がアフリカ系アメリカ人の教育機関として台頭し、長年にわたり、医師、弁護士、エンジニア、アーティスト、聖職者といった高度な人材を輩出してきました。

マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(左)。 公民権活動家、ノーベル平和賞受賞。1948年モアハウス大学卒。 ジェシー・ノーマン(右)。 オペラ歌手、グラミー賞受賞者。 1967年ハワード大学卒 (© AP Images)

マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(左)。 公民権活動家、ノーベル平和賞受賞。1948年モアハウス大学卒。 ジェシー・ノーマン(右)。 オペラ歌手、グラミー賞受賞者。 1967年ハワード大学卒 (© AP Images)

HBCUの学生は座り込みやデモ行進など反人種差別運動に積極的に参加、アメリカ公民権運動のきっかけもつくりました。

最近ではHBCUの学生がより多様化しています。多くのHBCUは異なる人種や民族的背景を持つ学生を受け入れ、中にはスペルマン大学(ジョージア州アトランタ)やハワード大学(ワシントンDC)のように留学生誘致に積極的な学校もあります。

また2013年からは、アメリカとブラジルが締結した共同プログラムを活用したブラジル人学生のHBCU留学が始まりました。

多くのHBCUはクラスでのグローバルな視点を大切にしています。アメリカ人学生は留学生の存在を尊重し、グローバルな環境で勉強することは、将来異文化の中で仕事をする準備になると理解しています。

臨機応変な大学では留学生支援に取り組んでいます。例えばノーフォーク大学(バージニア州ノーフォーク)看護学部は、留学生が直面する英語、社会、学習面での問題に対応するプログラムを整備し、その結果学生の満足度と学力が向上しました。

クワメ・エンクルマ(左)。 ガーナ初代大統領。 1939年リンカーン大学卒。トニ・モリスン(右)。 ノーベル文学賞受賞作家。 1953年ハワード大学卒 (© AP Images)

クワメ・エンクルマ(左)。 ガーナ初代大統領。 1939年リンカーン大学卒。トニ・モリスン(右)。 ノーベル文学賞受賞作家。 1953年ハワード大学卒 (© AP Images)

他のHBCUも留学生を獲得しようと同様のプログラムを展開しています。コロンビア出身のディエゴ・ブイトラゴ・グティエレスさんも、このようなプログラムを活用してHBCUに留学した1人です。

ブイトラゴ・グティエレスさんはハワード大学で土木工学を専攻、2015年に修士号を取得しました。

彼はハワード出願の理由について、「ハワード大学についてリサーチを始めた時、この大学がアメリカ史において非常に重要であると気がついたから」と振り返り、大学院での勉強は将来に向けた準備期間になったと話してくれました。

彼はラテンアメリカで起業を目指しており、コロンビア、ペルー、チリといった地震国でインフラを地震から守るソリューション提供に携わりたいと話します。「ハワード大学で得た知識や経験を活かし、地域社会と共有したい」と語ります。

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