レーン・ミクラ、ノエラニ・カーシュナー

多数の地方自治体政府が、長年にわたり大気環境の問題に取り組んできました。そしてその多くが成果を上げています。ここでは、住民にきれいな空気を取り戻すために、シカゴ、ロサンゼルス、ピッツバーグ、ニューヨークの4大都市圏が、どのように取り組んだかを紹介します。

シカゴ

シカゴ(上の2枚の写真はシカゴの数十年間の変化を示す)は2008年、米国の主要都市で初めて包括的な気候計画を策定し、それ以降、大気質の目標値を改善し続けています。2016年のプロジェクト「アレイ・オブ・シングズ(AoT: Array of Things)」など、地元の技術的な取り組みが、市の大気環境の改善に役立っています。AoTプロジェクトでは、街中の電柱にセンサーを設置し、今までにない規模の環境データを収集しています。また、シカゴは排出ガス削減のために公害防止に関する部署を設立し、自転車レーンの拡大や市内で使用する電気自動車への投資など、ゼロエミッション交通システムの実現に向け取り組んでいます。

ロサンゼルス

左:ロサンゼルスを覆うスモッグ。右:雪をいただいたサン・ガブリエル・マウンテンを背景にしたロサンゼルスの市街地 (© Nick Ut/AP Images)

左:ロサンゼルスを覆うスモッグ。右:雪をいただいたサン・ガブリエル・マウンテンを背景にしたロサンゼルスの市街地 (© Nick Ut/AP Images)

ロサンゼルスは、大気質を改善するために設定した気候目標の達成に取り組んでいます。ソーラーパネルやハイブリッドカー、電気自動車などの新たな技術により、市内の建設やエネルギー利用は、より環境に配慮したものとなっています。

また、ロサンゼルスでは、2035年までにディーゼル燃料を使用する全ての配送トラックの排出量をゼロにするパイロットプロジェクトを開始しています。ロサンゼルスの公立図書館は、本を貸し出すのと同じように、住民に空気センサーを貸し出し、屋内外の汚染レベルをモニターし、山火事の季節に役立てるプログラムを始めています。

同様に、州の政策により、カリフォルニア州は、1990年から2010年までの炭素排出量の増加率を4%に抑えています。また、米連邦環境保護庁の新たな規則により、州が自動車、小型トラック、スポーツ用多目的車に対してより厳しい排出量上限を設定することができるようになりました。

ピッツバーグ

モノンガヘラ川とアレゲニー川の合流地点にあるピッツバーグ。1936年当時(左)と2014年(右)(Left photo © Margaret Bourke-White/The LIFE Picture Collection/Getty Images. Right photo © Clarence Holmes Photography/Alamy)

モノンガヘラ川とアレゲニー川の合流地点にあるピッツバーグ。1936年当時(左)と2014年(右)(Left photo © Margaret Bourke-White/The LIFE Picture Collection/Getty Images. Right photo © Clarence Holmes Photography/Alamy)

かつて製鋼所で有名だったピッツバーグは、現在では政府の取り組みと新しいテクノロジーによって、よりクリーンな環境を実現するモデル都市となっています。今日、ピッツバーグを訪れる人々は、米国グリーンビルディング協会が認定するサステナブルデザインの最高認証要件を超えた33階建てのオフィスビル「PNCプラザタワー」を見ることができます。また、市長室では、化石燃料を使わない公共交通機関への投資や、市の全施設での再生可能エネルギーの導入、そして2030年までに全交通機関の排出量を半減する取り組みを行っています。

ニューヨーク

左:1953年、ニューヨークのクライスラービル上空に立ち込めるスモッグ。右:微粒子汚染は過去20年間で40%減少し、ニューヨークにきれいな空気をもたらした。2011年 (© Alamy)

左:1953年、ニューヨークのクライスラービル上空に立ち込めるスモッグ。右:微粒子汚染は過去20年間で40%減少し、ニューヨークにきれいな空気をもたらした。2011年 (© Alamy)

何千ものビルが建ち並び、常に交通量が多いニューヨークは、世界で最も人口密度の高い都市の一つです。しかし、州や地方自治体政府が実施した大気質対策により、ニューヨークの微小粒子状物質は20年間で40%減少しています。ニューヨークは、2040年までに100%クリーンなエネルギーを供給するインフラプロジェクトを通じて、2025年の気候目標達成に向け取り組んでいます。

* この記事は、2019年4月15日に公開されたものの改訂版です。

バナーイメージ:1945年当時のシカゴ(左)と2013年(右)

*この記事は、ShareAmericaに掲載された英文を翻訳したものです。