いつの日か報道陣の前に立ち、大統領報道官として日々記者会見に臨む。カリーヌ・ジャンピエールは、そんなことはありえないと思っていました。

ジャンピエールの両親は移民で、父親はニューヨーク市のタクシードライバー、母親は美容院を経営していました。両親は娘が医師になることを望んでいましたが、ジャンピエールは医大入試に失敗し、公共政策の道へと進みました。

彼女は今、アメリカ史上初の黒人系そして同性愛者であることを公言した初の大統領報道官となりました。

大統領報道官就任後初の会見で質問を受けるカリーヌ・ジャンピエール。5月16日。ホワイトハウス (© Andrew Harnik/AP Images)

大統領報道官就任後初の会見で質問を受けるカリーヌ・ジャンピエール。5月16日。ホワイトハウス (© Andrew Harnik/AP Images)

報道官就任後初の記者会見で「私が代表であることは、女性にとってだけでなく、男性にとっても意義あることです。私がこの場に立ち、皆さんの質問に答える姿を若者たちが見ることで、以前よりもずっと大きな夢を描いてほしいと思います」と述べました。

ジャンピエーが初めて政界に足を踏み入れたのは、ニューヨーク市議会議員で環境保護委員長だったジェームズ・ジェナーロの下で働いた時でした。

その後、2008年には大統領選でオバマ元大統領の選挙チームで働き、2020年にはバイデン大統領の選挙活動に携わりました。バイデン・ハリス政権発足後は、副報道官を務めていました。

私生活では、ジャーナリストのスザンヌ・マルヴォーとの間に娘が1人います。

バイデン政権はアメリカ史上最も多様性にあふれた政権です。政権幹部の58%は女性で、18%は黒人あるいはアフリカ系アメリカ人で、14%はLGBTQI+であることを公言した人たちです。

師と仰ぐ黒人初のニューヨーク市長、故デービッド・ディンキンスをはじめとする政界の先駆者について、「私が今あるのは彼らの偉業があったから。私の前に障壁を破った人たちがいなければ、今私がここにいることはないでしょう。私は彼らの犠牲から恩恵を受け、彼らの功績から学んできました。彼らへの感謝を忘れることは永遠にありません」と述べました。

バナーイメージ:大統領報道官就任後初の会見に笑顔で臨むカリーヌ・ジャンピエール。5月16日。ホワイトハウス (© Andrew Harnik/AP Images)