マシュー・ギルモア上級空兵、米空軍第374空輸航空団

2018年の「クリスマス・ドロップ作戦」を完了したサンタクロースの助手たちは、足早に任務地を離れ、それぞれの部隊へと帰還してきました。

米空軍、日本の航空自衛隊、王立オーストラリア空軍の隊員から編成された「サンタ部隊」の任務は、C-130輸送機で世界の離島の住人にクリスマスプレゼントを届けることでした。今月、グアム島のアンダーセン空軍基地を飛び立ち、およそ10日間をかけ、米国本土の広さほどある海上に点在する島々の2万人の人たちに、必要な物資や備品を運び、空中から投下しました。輸送した荷物の数は154個、総重量は10万3000ポンド(約4万6720キログラム)でした。

U.S. Air Force photo by Senior Airman Matthew Gilmore

写真提供:マシュー・ギルモア米空軍上級空兵

日米豪のクルーたちはこの任務で、物資が不足している島民に善意の気持ちを届けているだけではありません。空中投下作業の手順を一つ一つ確認し、輸送時間を記録するなどして、インド太平洋地域の災害対応で共有してきた技術の訓練も行います。

「究極的には、これは訓練任務です」。クリスマス・ドロップの作戦隊長を務めた在日米軍横田基地のダン・ナゾ米空軍大尉は言います。「クリスマス・ドロップ作戦は、非常事態の際にパートナー諸国と共同で作戦立案・実践に取り組むことを目的とした日米豪の共同任務です。この3カ国連携を強化し、それぞれが実施する人道支援物資を海上に投下する技術を構築することで、災害救援のあらゆる場面に備えます」。

日米豪は互いに連携することで、海上投下の技術をより効果的なものへと向上させています。

「クリスマス・ドロップ作戦は、我々が米豪の空軍と連携できる、またとない訓練機会です」。航空自衛隊小牧基地の第1輸送航空隊第401飛行隊でC-130Hハーキュリーズ輸送機の機長を務める三原健太郎3等空佐は言います。「我々はこの作戦を通して、島民だけでなく、地域に対してもより効果的に貢献することができます」

クリスマス・ドロップ作戦が長年にわたり成功してきたのは、この地域やそこに住む人々を支援したいという共通の思いです。

U.S. Air Force photo by Senior Airman Matthew Gilmore

写真提供:マシュー・ギルモア米空軍上級空兵

「我々は手順を一つ一つ一緒に行い、任務を遂行します」。小牧基地の交換将校、ルーカス・クラウチ米空軍少佐はこう語ります。第1輸送航空隊第401飛行隊で作戦指揮官補を務め、クリスマス・ドロップ作戦には小牧基地から参加しました。

「我々は作戦立案や情報確認を共に行い、全く同じ任務にあたります。任務をやり遂げた後は、連帯感が深まり、互いの能力も向上します。クリスマス・ドロップ作戦は、自分たちができることを示す場ではなく、共に能力を向上させる場でもあります」

この共通の信頼、責任、能力があるからこそ、日米豪は自然災害が多発するこの地域で、災害救援活動に一体となって取り組むことができるのです。

「共同任務を積み重ねることで、チーム力も高まります」(三原3佐)。「状況報告や荷物の投下などを一緒に行うことで、互いをよく知るようになります。クリスマス・ドロップ作戦などの訓練機会のおかげで、さまざまな状況に対応できるようになり、また以前一緒に任務に就いた顔見知りのメンバーに会うこともできます。この経験のおかげで、今回の任務だけでなく、将来別の状況でも任務が遂行しやすくなります」

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写真提供:マシュー・ギルモア米空軍上級空兵

この地域の人道支援や災害救援ニーズに迅速に応えられるよう訓練を積む一方で、サンタクロースの助手たちが大切にしているのは、思いやりの精神です。

「クリスマス・ドロップ作戦に参加できることを誇りに思います」。オーストラリアのリッチモンド空軍基地第37飛行隊から参加しているC-130Jスーパーハーキュリーズ輸送機のパイロットで分遣隊長のニコラス・ブーク大尉は言います。

「我々がクリスマス・ドロップ作戦に参加しているのは、パートナー国との関係構築のためだけではありません。島民に物資を届けることで支援の手を差し伸べることができます。また、我々がこの地域のパートナーであることを知ってもらうこともできます。厳しい環境で暮らす人々への物資の空中投下訓練は、我々にとって重要です。その一方で、クリスマスの喜びを少しでも広めることは実にやりがいのある任務です。島の上空を飛行し、島民たちが手を振って感謝の気持ちを表してくれるのを見ると、温かい気持ちで胸がいっぱいになります。このことが、クリスマス・ドロップ作戦をやりがいのある任務にしてくれます」