メアリー・ジェーン・マックスウェル

アメリカ企業が開発した新たな農業テクノロジーが、収穫量の増大と高い利益を実現し、急速に農家の生活を変えています。

ジョンディア社の最新コンバインは、全地球測位システム(GPS)、人口知能(AI)、センサーテクノロジーを利用しており、耕作地のどの部分をいつどのように刈り取るかをリアルタイムで計算します。

「刈り取られた穀物は、収穫機の別々の部分で処理されていきます。そのため、農家が穀粒1つ1つを細かくチェックすることはできません。何かが変だと気が付いたときには、耕作地全体がすでに刈り取られた後、ということも起こりうるのです」。ジョンディア社のジョン・ティープル先端技術部長は話します。

ジョンディア社の自動運転コンバインに搭載されている高解像度カメラは、小麦の穀粒の拡大写真を撮ってコンピューターに送ります。そして、天候の変化や土壌の状態、近隣の農場から集めたデータを元に、刈り取る穀粒のサイズに最も適した脱穀機の設定をAIがが行います。

「当社の機械は今やさまざまな変化を察知し、自動的に設定を調整することができます」とティープル部長。

支援の手を差し伸べるロボット

AIソフトウェアを搭載したアメリカ製ロボットにより、小さな農場や家庭菜園でも、経費を削減し収穫量を増やすことが可能となっています。

ファームボットはアメリカの小規模テクノロジー会社が考案した自動農業用システムです。「ミリ単位の精度で種をまき、土壌の含水率を計測し、植物1本1本が必要な量の水を正確に供給します。カメラで雑草を探知して除去することもできます」と語るのは、創業者のローリー・アロンソンさん。機械工学者で起業家の彼は、同社のビデオでファームボットを紹介しています。ファームボットのデザインとテクノロジーは、無料でダウンロードが可能です。遠く離れたチリ、イスラエル、インド、ベトナムの農家がすでにその技術を利用しています。

ファームボットが種をまき、肥料をやり、除草し、それぞれの植物に水をやった後、野菜の収穫時期が来ると、生産者のスマートフォンにロボットから通知が届きます。

家庭菜園ではファームボットで1家族4人分の野菜を生産できますが、商業的な大量生産に比べ、二酸化炭素排出量は25パーセント少なくなります。太陽光発電と組み合わせれば、さらなる排出量の削減が可能です。

また、世界中の教員や大学教授が、STEM(科学・技術・工学・数学)分野での指導や研究にファームボットを使っています。さらに米航空宇宙局(NASA)も、宇宙での野菜栽培がどのようなものになるのかをファームボットを使って研究しています。