アルフレッド・ヒッチコック監督の初ヒット映画、シャーロック・ホームズ作品集、ルイ・アームストロングの名曲など、1927年に発表された多くのクラシック作品が著作権保護の対象から外れ、誰でも自由に活用、楽しめるようになります。
アメリカでは毎年1月1日、著作者の生活と将来世代の利用保護を目的とする著作法の下、多くの文芸作品、音楽、映画の著作権が解除され、誰でも使えるようになります。
2023年に著作権が解除される作品は1927年に発表されたもので、「少年探偵 ハーディー・ボーイズ」の初期作品、ヴァージニア・ウルフの「灯台へ」、リッツ・ラング監督のSF映画「メトロポリス」、ヒット曲「I Scream, You Scream, We All Scream for Ice Cream」などがあります。
デューク大学パブリック・ドメイン研究センターでディレクターを務めるジェニファー・ジェンキンスによると、サイレント映画(無声映画)からトーキー映画(発声映画)に移る時代に発表されたハリウッド作品もパブリック・ドメインに入ります。
著作権が解除される楽曲の中には、ブロードウェイのヒット曲やジャズ・スタンダードも含まれています。ただし、パブリック・ドメインに入るのは1923年の作品の音楽と歌詞部分だけで、レコーディング部分は来年となります。(ジェンキンス)
When the clock strikes midnight on January 1, most of the published works from 1927 will move into the public domain in the US. Celebrate these works at one of our two Public Domain Day celebrations, January 19 & 20:https://t.co/xaq14l5gbD pic.twitter.com/aBuvjKDPSc
— Internet Archive (@internetarchive) December 26, 2022
著作権法は、作品への対価を求める著作者の権利と、将来世代のため芸術作品を保護する取り組みとのバランスを取る法律です。一定期間後の芸術・文芸作品の無料開放は、著作権法の基本理念です。
憲法では、著作権は、詩、小説、音楽、建築、さらにコンピューターのソフトウェアなど、著作者の原作を保護する知的財産法の一種と定められています。また、発明を守る特許や商標、広告で使われる記号やスローガンなども知的財産に含まれます。
著作権は主に2つの要素から構成されています。独占権期間と、その後の使用の自由です。この2つはそれぞれ著作者に対して、異なる形でインセンティブを与えています。著作権が有効である間、著作者は作品の対価を受ける権利があります。
小説家、詩人、歴史家、ジャーナリストが加盟する団体「オーサーズ・ギルド」は、「著作権の効果的な保護は、著作活動という職業の要であり、それにより著作活動を行う人たちは、書くという職業で生活ができる」と述べています。
一方、著作権から文芸作品を開放することは、昔の歌や作品の利用度が高まり、新たな創作での活用につながります。「詩は別の詩から生まれるものであり、小説もまた然り」。著名な文芸評論家のノースロップ・フライはこう述べています。
ジェンキンスは次のように指摘します。「パブリック・ドメインも創作の源泉である。著作権の本質とは創造を刺激することにあり、それに不可欠なのがパブリック・ドメインなのだ」
バナーイメージ:ヒッチコック監督のサスペンス作品「The Lodger(邦題:下宿人)」、コナン・ドイルのミステリー作品集「シャーロック・ホームズ」などのクラシック作品が、2023年にパブリック・ドメインに入る (Movie posters © Getty Images)
*この記事は、ShareAmericaに掲載された英文を翻訳したものです。
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