マイケル・ラフ

ウクライナ南部のカホフカ・ダムが破壊されてから数時間のうちに、米国の救援団体や国際的なパートナーが結集し、ウクライナの家庭に緊急支援を提供しました。エフゲニアも、その支援を受けた一人です。

「絶え間ない砲撃の中で、私たち親子は水も電気もない一カ月を過ごしました」とエフゲニアはユニセフUSAに語ります。「特に、夏の時期に子どもたちが、このような経験を繰り返すのは辛いものです」

6月6日、ウクライナ南部ヘルソン州にあるカホフカ水力発電所のダムが爆発で破壊され、大規模な洪水が発生し、数千人が避難しました。

エフゲニアと3人の幼い子どもたちのようなヘルソンに住む家族は、安全な飲料水を手に入れるために再び奔走する必要に迫られました。ロシア軍が昨年ウクライナへの侵攻を開始したときと同じように、彼女はまたしても子どもの安全を考えて、不測の事態に備えることになったのです。

「何が起こるかわからない開戦時を思い出します」と、エフゲニアは言います。

6月7日、カホフカ・ダムが破壊され、ヘルソンでは道路が冠水した (© Libkos/AP)

6月7日、カホフカ・ダムが破壊され、ヘルソンでは道路が冠水した (© Libkos/AP)

広範囲に及ぶ被害

ダムの被害により、推定1万6000人の住民が洪水の危険に直面しています。ヘルソンでは6月13日現在、少なくとも5人が死亡、43人が負傷、27人が行方不明となっています。

住宅、農場、町が危険にさらされています。住民はヘルソンからムィコラーイウやオデーサなどの都市に避難しており、支援を必要としています。当初、ダムの破壊が上流のザポリージャ原子力発電所の冷却装置に影響を与えるとの懸念がありましたが、最近の報告によると、原子力発電所の安全性への影響はないとのことです。

米国際開発庁(USAID)のサマンサ・パワー長官は、「私たちは、今日、そして数週間先まで被災者が必要としている支援を提供するため、たゆまぬ努力を続けている」と述べました。

米政府と援助機関は、ダム破壊による人道的、環境的、経済的な影響に対処しています。6月11日現在、USAIDは以下を提供しています。

  • 約18万人分の飲料水、衛生キット、食料品
  • 5000世帯以上に53万8000ドルの現金
  • ヘルソンとムィコラーイウで1万6000人分の温かい食事
  • 水難救助活動を支援するための燃料1万6000リットル
  • 浄水システム、水用ポンプ、ボート用品

USAIDとパートナー団体は、ダム決壊に対応する緊急ボランティア向けにバスと燃料の引換券も提供しています。

USAIDの人道支援パートナーである「プロジェクト・ホープ」は、ヘルソン郊外アントニフカで、カホフカ・ダム破壊による洪水の被害を受けた人々に安全な飲料水を提供している (© Project Hope)

USAIDの人道支援パートナーである「プロジェクト・ホープ」は、ヘルソン郊外アントニフカで、カホフカ・ダム破壊による洪水の被害を受けた人々に安全な飲料水を提供している (© Project Hope)

揺るぎない支援

米国務省は6月9日、経済協力開発機構(OECD)のウクライナの改革・復興支援計画に43万7000ドルを拠出すると発表しました。この拠出金は、ウクライナの復興需要に関する経済調査に充てられ、格差の特定と改革の優先順位付けが実施されます。

米国はすでに、ウクライナ政府に対して192億5000万ドルの支援を行っており、緊急対応要員や政府高官の給与、病院の運営や年金債務の履行に使われています。

「ウクライナ国民に対する米国のコミットメントは揺るぎない」と、パワー長官は話します。

ダムの決壊と破壊の正確な原因については、まだ調査が行われています。

バナーイメージ:USAIDは、ウクライナのカホフカ・ダム決壊による被災者を救済する緊急活動として、ボートや水難救助用具を購入して送っている (© Olexander Kornykov/Vgoru Media)

*この記事は、ShareAmericaに掲載された英文を翻訳したものです。