カンボジアは美しい国。ただし、通りに散らかるごみを除けば――
カンボジアを訪れる多くの人は口々にこう言う。日系アメリカ人で起業家のカイ・クマモトさんが2014年に初めてカンボジアを訪れた時も同じことを耳にした。
ごみの大半はプラスチック製バッグだ。このことに気が付いたクマモトさんは、この問題への持続的な解決策を探ることを決めた。
そこで仲間と一緒に立ち上げたのが「クリーンボジア(Cleanbodia)」だ。生分解性エコバッグ「I’m a plant(私は植物)」を使う取り組みだ。
「自分たちで生産できる生分解性バッグの種類を研究した結果、化学添加物を使ったバッグと正反対の、でんぷんから作られたバッグが必要だと考えました」と、クマモトさん。「東南アジアはキャッサバの栽培地であることから、調達のしやすさとコスト面を考慮し、キャッサバでんぷんを用いるのが一番理にかなっているという結論に達しました」
クマモトさんは、バイオプラスチックはさまざまな植物から作られているため、でんぷん質のキャッサバがバイオプラスチックに適していることを知らなかったと言う。
「『I’m a plant』エコバッグは軽く、しかも強度はプラスチック製バッグと変わりません」と、クマモトさんはプノンペン・ポスト紙に語る。
「クリーンボジアを開始したのは2015年のことです。生分解性バッグがカンボジアで導入できるかを分析するため、小さなプロジェクトを立ち上げました。私たちは、カンボジアだけでなく世界各地で、生分解性バッグの研究、デザイン、販売、配送を行いました」
クマモトさんは、カンボジアに来る前は、国のイベントを担当するマネージャーを務め、アメリカ各地で会議などの運営に携わっていた。その当時、自らが起業するとは考えてみたこともなかったと言う。
しかし、初めてカンボジアを訪れ、環境について考えるようになり、起業を決心した。
「私たちの目的は、プラスチックバッグを一掃することではなく、環境に有害な製品への依存を大きく減らすことにあります。生分解性バッグは、原油や天然ガスと違い、再栽培が可能な原料を使っているので、生態系により優しい製品であると言えます」
クマモトさんは、生分解性バッグの特徴として、「6年ほどで分解される」ことを挙げる。分解速度は、「プラスチック製バッグより200年も速い」。バッグのロゴ「I’m a plant」は、この製品の由来について人々に考えさせるきっかけになるとも言う。
「私たちの生分解性バッグの強度は、普通のプラスチック製バッグと同じぐらいですが、プラスチック製品特有の化学的な手触りや臭いは全くありません。温かい液体でも冷たいものでも大丈夫です。ただ、湿気がある状態に長期間置いておくと、分解が始まります」
生分解性バッグの製造プロセスは複雑で高価な機械が必要となることから、クマモトさんとエンジニア仲間たちの試行錯誤は何度も続いた。今、クマモトさんは、東南アジアで工場を稼働している。
「現在、私たちの製品はカンボジアで製造していませんが、製造拠点は東南アジアにあります。私たちは、カンボジアに工場を建設する可能性を調査しており、適切なパートナーとそれを実現する最善策を探っている段階です」
プノンペン・ポスト紙との取材で、「カンボジアでの現地生産が可能になれば、生分解性バッグを安く作ることができます。キャッサバも十分に栽培されているので原料供給にも問題はありません」と語る。
「私たちの生分解性バッグは、もし世界各地から受注を獲得できれば、カンボジアの有力な輸出品となり、カンボジアが誇れる製品になるはずです。消費者は安い製品を好みます。しかし、従来のプラスチック製バッグは生分解性バッグよりも必ずしも安いとは言い切れません。プラスチックの使用と処理にかかる費用は、環境からの除去や悪影響を受けた生態系を回復させる必要性を考えると、とてつもなく高いものになります」
クマモトさんが現在重点的に取り組んでいるのは、プラスチック製バッグの使用削減だ。カンボジア全体のゴミに占めるプラスチック製バッグの割合は約2割だ。
クリーンボジアは2つの製品を展開する。生分解性バッグと堆肥として利用できるバッグ。前者はプラスチックを使っているので、分解するまで6年ほどかかる。一方で後者は、プラスチックを使っていないので2年以内に分解する。
クマモトさんは、「ゴーグリーン・カンボジア」、「プラスチックフリー東南アジア」といった多くの機関と協力し、プラスチック汚染の解決促進や多数の団体への解決策提案に取り組んでいる。
バイオバッグは環境に優しいという認識は多くの人が共有している。しかし、従来のプラスチックからよりよい選択肢へと変えていく意識をさらに高める必要がある。
「私が話をする人の大多数は、プラスチックは環境に良くないことを認識していますが、行動を変えるまでに至っていない。これが大きな問題です」とクマモトさんは指摘する。「この問題の原因は、代替品がないことにあります。これこそが、政府が影響力を発揮し、カンボジアは環境政策の模範国であると世界にアピールするポイントになります」
「現在の政令は、プラスチック汚染削減に向けた大きな一歩となりました。環境省の今後の取り組みを楽しみにしています」とクマモトさん。
クマモトさんは、従来のプラスチック製バッグの一掃に向け、引き続き研究や販売活動を続け、チャンスを開拓していくと言う。
「私たちは、製造拠点建設に向けパートナー候補の分析も行います」
*本記事は以下を翻訳したものです。
Times, New Straits. “NST Region: 'I'm a Plant' Eco-Bags to Help Make Cambodia Cleaner.” NST Online, 16 Oct. 2019, https://www.nst.com.my/world/2019/10/530465/nst-region-im-plant-eco-bags-help-make-cambodia-cleaner.
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Ordinary plastic bags and utensils is an environmental disaster of our time. It’s good that people like you care
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