山頂から深海まで、米国の女性科学者たちは地球規模の問題に取り組んでいます。

かつて、科学・技術・工学・数学(STEM)の仕事に就く女性はほとんどいませんでしたが、現在では女性の約3割がこれらの仕事に従事しています。

国連は2月11日を「科学における女性と女児の国際デー」と定めています。リダ・ヒル慈善財団と米国科学振興協会が立ち上げた「IF/THEN」のような取り組みのおかげで、125人の女性が、将来の科学リーダーとして参加する少女たちの指導にあたっています。シェアアメリカは4人の「科学大使」に話を聞きました。

***

キンバリー・マイナー(気候科学者)

キンバリー・マイナー (Courtesy of IF/THEN® Collection)

キンバリー・マイナー (Courtesy of IF/THEN® Collection)

気候科学者のキンバリー・マイナー教授は、若い女性にこう秘訣を明かします。「科学者になるのに、もともと科学や数学が得意でなくても大丈夫。一生懸命に粘り強く頑張れば、ロサンゼルス地区航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所のSTEM分野で成功することができます」

マイナー教授は、南極大陸周辺を航海し、アラスカで美しいオーロラを眺め、環境汚染を分類しながらはるかエベレスト山までチームを率いて行きました。彼女は探検が大好きで、訪れる場所の保護を提唱しています。

「私たちの周りの世界は、科学的な原理を中心に回っています。それがどのように、なぜ機能するのか理解することは、世界の扉を開く鍵のようなものです。それにより、人生でなりたい自分になれるのです」。マイナー教授は、さまざまな学校のグループやバーチャル教室、米国ガールスカウトと共に取り組み、自然界への鍵を見つける手助けをしています。

***

ラテイジア・ジョーンズ(科学者・倫理研究員)

ラテイジア・ジョーンズ (Courtesy of IF/THEN® Collection)

ラテイジア・ジョーンズ (Courtesy of IF/THEN® Collection)

ラテイジア・ジョーンズは細胞オタク。生物医学の博士号を持つ彼女は、細胞分裂、糖尿病、脳の発達を解明する実験をしながら、顕微鏡でさまざまな色の細胞を見るのが大好きで、そこに芸術性を見出しています。ジョーンズは科学者として、ワシントンの米国微生物学会に勤務しています。

彼女はまた、ワシントンの国立小児病院で患者を教えるために「ヤング・サイエンティスト・ウェンズデー」を設立しました。そして、女性がすごい力を備えていることを、少女たちに知ってもらいたいと思っています。「女性は知的で、一生懸命働き、広く社会に貢献できるだけでなく、あらゆる状況の感情的な部分にも適応し、円満な解決策を生み出す能力を持っています」

黒人女性の1人としてジョーンズは、女性やマイノリティーがSTEM分野に参入することは重要だと考えています。そしてこう話します。「STEMは、異なる背景、文化、民族、性別、アイデンティティーを持つ人々が一堂に会し、世界の大きな謎に取り組むことで初めて前に進むのです」

***

エリン・スミス(学生)

エリン・スミス (Courtesy of IF/THEN® Collection)

エリン・スミス (Courtesy of IF/THEN® Collection)

エリン・スミスは少女時代に台所で行った実験の話をしますが、それはそれほど昔のことではありません。というのも彼女はまだ21歳で、スタンフォード大学2023年卒業予定の学部生だからです。そして彼女は、学位取得を待たずに既に行動を起こしています。

高校生の時には、女子中学生にコーディングを教える「ステミニスト」というグループを共同で立ち上げました。

スミスは、パーキンソン病を検知しモニターする方法を求め、人間の脳に関するテクノロジーの修得を目指しています。現在は、ビデオ技術を使用しパーキンソン病の初期段階に関連する顔の表情の障害や行動指標を検知するアプリケーション「フェイス・プリント(FacePrint)」を開発しています。フェイス・プリントは、スタンフォード大学病院とマイケル・J・フォックス財団が共同で臨床試験を行っています。「脳の健康が客観的事実に基づき、一人一人に向けた先を見越したものとなるような未来を築くお手伝いができればと思っています」と彼女は話しています。

***

ケイティ・クロフ・ベル(深海探検家)

ケイティ・クロフ・ベル (Courtesy of IF/THEN® Collection)

ケイティ・クロフ・ベル (Courtesy of IF/THEN® Collection)

ケイティ・クロフ・ベルは、海底を探査し、その絶景を世界中にライブ配信するノーチラス探査プログラムを率い、海洋学の様相を一変させました。彼女がプログラムを引き継いだ時には、科学・運用チームの女性はわずか17%でしたが、18年後の2017年に彼女がプログラムから離れた時には43%になっていました。

全ての才能ある人々が海洋探査に参加できるようになれば、「海洋の利用、管理、保護について賢明な判断ができるようになり、その結果、人類の繁栄につながります」と彼女は述べています。

水を愛するベルはサンディエゴで育ちました。海洋工学、海洋考古学、地質海洋学を学び、現在はマサチューセッツ工科大学のメディアラボで「オープン・オーシャン・イニシアチブ」を指揮するほか、ナショナル・ジオグラフィック協会でフェローを務めます。

「子どもの頃、私たちは必ず『どうして?』と聞いたものです」と彼女は言います。「それは私たちが自分の周りの世界を知ろうとしたからです。『なぜ空は青いの?』と。その同じ『どうして?』が科学の原動力です。大人になっても、私たちはより深いレベルで世界を理解し、世界をより良い場所にするにはどうしたらよいか考えているからです」

バナーイメージ:キンバリー・マイナー (Courtesy of IF/THEN® Collection)