カリフォルニア州パサデナにある米航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(JPL)で12月27日、火星探査車「マーズ2020」がメディアに公開され、報道関係者が火星探査ミッションに取り組む専門家のインタビューを行いました。今回の無菌室内での報道陣への公開は、2月に探査車がケープカナベラル基地に移される前の唯一の取材機会でした。

「報道関係者が我々の作業を近くで見学するだけでなく、職員にも会う良い機会となりました。この次世代火星探査車の製造にあたり、これまでにJPLで製造されてきた探査車の遺産に恥じないよう、彼らは何年間も献身的に取り組んできました」。JPLでマーズ2020ミッションの組み立て、試験、そして打ち上げオペレーション課長を務めるデービッド・グルーアルさんはこう述べました。

宇宙船組立施設「ハイ・ベイ1」としても知られる無菌室は、NASAの火星探査車4台全てが製造された場所です。1997年に火星に着陸した電子レンジサイズの「ソジャーナ」、2004年に着陸したゴルフカートサイズの火星探査車「スピリット」と「オポチュニティ」、2012年以来赤い惑星(火星の俗称)のシャープ山(Mount Sharp)地域を探検している車のミニクーパーサイズの探査車「キュリオシティ」です。

NASAの火星探査車「マーズ2020」と製造担当技術者を取材する報道関係者。2019年12月27日に行われた「マーズ2020」メディアデーの一コマ。ジェット推進研究所の無菌室「ハイ・ベイ1」内でミッションチームメンバーのジェシカ・サミュエルズがインタビューを受けた (Credit: NASA/JPL-Caltech)

NASAの火星探査車「マーズ2020」と製造担当技術者を取材する報道関係者。2019年12月27日に行われた「マーズ2020」メディアデーの一コマ。ジェット推進研究所の無菌室「ハイ・ベイ1」内でミッションチームメンバーのジェシカ・サミュエルズがインタビューを受けた (Credit: NASA/JPL-Caltech)

2020年7~8月頃に打ち上げ予定の「マーズ2020」火星探査車は、2021年2月18日に火星のジェゼロ・クレーターに着地する予定。探査車はそこで過去の微生物の痕跡を探索し、気候と地質の特性を明らかにします。また、将来地球に持ち帰るサンプルを収集し、人類による赤い惑星の探査に向けた道を開きます。

「ハイ・ベイ1」では、火星に運ばれる地球の微生物を最小限にとどめ、火星探査車の操作を妨げかねない微粒子を遮断するため、厳しい衛生基準が適用されます。すなわち、無菌室に入る者は、技術者であれジャーナリストであれ、防護服、シューズカバー、ヘアカバー、フェイスマスク、医療用手袋の着用が義務付けられます。メモ帳や筆記用具からホコリや他の微粒子が出る恐れがあるため、要請があった報道関係者には、今回の入室にあたり特別に許可された紙やペンが提供されました。

今後数週間の内に技術者と専門家は、特別に指定されたコンテナに「マーズ2020」火星探査車を梱包します。ケープカナベラル基地に到着後、「マーズ2020」は最終準備に入り、打ち上げ前のテストが行われます。

JPLはNASAの火星探査車「マーズ2020」を製造し運用を管理します。打ち上げ管理は、フロリダ州にあるケネディ宇宙センターのNASA打ち上げサービスプログラムが担当です。

「マーズ2020」は大きな計画の一部に過ぎません。月探査ミッションは、人類による火星探査に向けた準備の一手段として、その大計画に含まれています。2024年までに宇宙飛行士を再び月へ送る任務を帯びたNASAは、月探査計画「アルテミス」により、2028年までに月とその周辺で人類の継続的な滞在を可能にする予定です。

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「マーズ2020」メディアデーの写真
http://bit.ly/mars2020mediadayphotos

火星探査車「マーズ2020」製造とミッションの動画
http://bit.ly/mars2020reel

「マーズ2020」ミッションの詳細
mars.nasa.gov/mars2020/