クリストファー・コーネル

ワシントン郊外。2人の消防隊中隊長がスマートフォンの地震アプリを確認しています。単なる好奇心からではありません。

トレーシー・リードさんとマーク・シュローダーさんの2人は、都市型捜索救助隊に所属しています。海外からの地震の生存者救出支援要請に備え、米国国際開発庁(USAID)はこの捜索救助隊を常に待機させています。

「我々はいつでも出動可能です。必要な装備をバッグに詰め、常に準備しているからです」とリードさんは話します。彼女はバージニア州フェアファックス郡消防本部のベテランで、熟練技術を要する都市型捜索救助隊チームの一員です。

USAIDの海外災害援助室は、バージニア州フェアファックス郡とカリフォルニア州ロサンゼルス郡消防本部の精鋭2チームと契約しています。このチームは、要請から数時間以内に、あらゆる救助道具や器具、その他必要な備品を持って出動できます。2015年4月、マグニチュード7.8の地震がネパールを襲った時も両チームは現地に派遣されました。この地震ではおよそ9000人の人命が失われました。

海外に展開すると両チームは、USA1とUSA2の隊員と呼ばれます。この米国の2チームは、ネパールチームと協力して、15歳の少年ペンバ・タマンさんの劇的な救出に成功しました。タマンさんはカトマンズの倒壊した9階建てビルのがれきの下に5日間閉じ込められていました。

フェアファックス郡で救急救命士の指導・監督をしているシュローダーさんは、大勢の人たちが喝采する中、がれきの下から救出されたタマンさんの応急手当を手伝いました。48歳になるシュローダーさんは話します。「覚えているのは歓喜に沸く群衆が純粋に喜んでいたことだけです」

2011年の東日本大震災後、被災地で活動するバージニア州フェアファックス郡の都市型捜索救助隊員 (Master Sergeant Jeremy Lock/USAF)

2011年の東日本大震災後、被災地で活動するバージニア州フェアファックス郡の都市型捜索救助隊員 (Master Sergeant Jeremy Lock/USAF)

米国捜索チームは、掘削機器の他に、がれきの下深くに閉じ込められた人間のにおいを探知する犬を連れていきます。この米国チームの2匹の犬が、タマンさんの居場所を特定したのです。

バージニア州タスクフォース1(緊急展開チーム)の名簿には210人が登録され、最大70人を災害派遣することができます。招集されても全員が対応可能とは限らないので、「各役割に対し3人の確保を目標にしています」とリードさんは言います。

米国連邦緊急事態管理庁は、国内で災害が発生するとバージニア州タスクフォース1を派遣します。ノースカロライナ州とサウスカロライナ州が洪水に見舞われた後、リードさんは救出任務に2度出動しました。彼女はまた、モンゴルとアルメニアで行われた国際訓練演習にも参加したことがあります。

「私たちは年間を通し訓練を行っています。実際の派遣任務がない年でも、数多くの訓練をこなします」。16歳で消防士としてボランティアを始め、現在40歳になるリードさんは話します。

シュローダーさんは、他国が助けを求めている時に米国が果たす役割を誇りに思っています。「米国は慈愛に満ちた国です。世界のどこかで大災害が起きれば、我々は常に現地に駆け付けてきました」