オレナ・ヤコフチョフには、ウクライナのチェルニヒウ州にある第3中学校の校長として大きな責任があります。

校内の温度は10℃以下になることがあります。近くで空襲が起きると、生徒たちは防空壕で身を寄せ合います。2022年2月にロシア軍が大規模侵攻を開始して以来、この町はたびたび攻撃にさらされ、暖房、電力、ガスなどの社会基盤が標的にされています。

「電気はだいたい1日3時間しか使えません」。ヤコフチョフは言います。「熱の供給が停止すると、授業にも影響が出ます」

オレナ・ヤコフチョフ (Courtesy of Olena Iakovchuk)

オレナ・ヤコフチョフ (Courtesy of Olena Iakovchuk)

米国国際開発庁(USAID)は、ヤコフチョフが勤務する学校などに発電機を提供しました。この発電機は、教室の予備電源として使われています。

彼女はUSAIDにこう話します。「このようなUSAIDの支援は、学校にとってとても重要です」

各国から寄せられる支援

米国と欧州の同盟国は、ウクライナのエネルギー部門を継続的に支援しています。バイデン・ハリス政権は議会と協力して、ウクライナのエネルギー需要に対して1億2500万ドルの緊急追加支援を準備しています。これは、2022年11月にアントニー・ブリンケン国務長官が発表した、同国のエネルギー部門への5370万ドルの支援に続くものです。

これらの支援により、稼働中の送電網の維持に欠かせない高電圧単巻変圧器や大容量移動式ガスタービン発電機など、重要な送電網設備をウクライナに届けることができるのです。

2022年のロシアの大規模侵攻以来、米国はこれまでにウクライナの電力部門の修繕、維持、強化を支援するため、2億7000万ドルを提供してきました。

(State Dept./M. Gregory)

(State Dept./M. Gregory)

米国政府がこれまでに行った支援は次の通りです。

  • 警官・消防士・救急隊員など緊急対応要員に対する給与支払いなど、ウクライナ政府の公務維持のための直接支援として130億ドル
  • ウクライナや近隣諸国の人々に対する人道的支援として19億ドル
  • 発電機1600台。今後追加される予定

欧州連合など70以上の国や組織が、ウクライナの人々が冬を乗り切れるよう10億ユーロの支援を約束しました。

また米国国務省は、先進7カ国(G7)、その他主要な同盟国・パートナー国の先頭に立ち、迅速に提供可能でウクライナ側と互換性のある機器の見極めを行っています。

先進7カ国は、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、そして米国です。

ブリンケン国務長官と日本の林芳正外務大臣は、1月に行われたG7と主要パートナー国との会合を共催し、欧州のシステムと完全に統合された最新の送電網を導入するというウクライナの長期構想などへの支援を改めて表明しました。

米国国際開発庁(USAID)が寄付した発電機を使って電力を供給している学校に入る子どもたち (USAID)

米国国際開発庁(USAID)が寄付した発電機を使って電力を供給している学校に入る子どもたち (USAID)

必要な援助は多数あります。USAIDによると、ロシアの攻撃により、700万人のウクライナの子どもたちが、水、電気、暖房のない生活を強いられています。

あらゆる規模のコミュニティーを支援する

USAIDは、規模が異なるさまざまなコミュニティーに物資を届けました。例えば、ルードビーニフカにあるベリツカ幼稚園には、薪を燃料として使用するボイラー室を提供しました。これにより、25人の園児と13人の職員が、暖かい場所で過ごせるようになりました。

テルノピリでは、USAIDが病院など市内3地域の11万2000人に暖房や温水を提供しました。

公共事業会社のキーウ・ヒーティング・ネットワークスは、ロシアの攻撃によって被害を受けた設備を修復しています。社員は1日平均40件の修理依頼に対応しています。

プーチンが始めたウクライナでの戦争により破壊されたインフラを修理するキーウ・テプロ・エネルゴの作業員 (USAID)

プーチンが始めたウクライナでの戦争により破壊されたインフラを修理するキーウ・テプロ・エネルゴの作業員 (USAID)

同社は先日、2万2000人の市民が利用する暖房と温水を復旧させました。米国政府は同社に、130万ドル相当のパイプと関連機器を提供しています。

「これは我々が責任を持ってやるべきことです」キーウ・ヒーティング・ネットワークスの取締役であるバシル・デレビツキーは言います。「家庭への熱の供給が途絶えることがないよう、毎日作業をしています」

USAIDはビンニツァというウクライナ中西部の小さな町に、発電機32台と破損した暖房配管を修理する際に使用する掘削機を送りました。

「(エネルギーに携わる作業員は、)これまでの経験が彼らを強くしたと感じています」。ビンニツァ・シティ・ヒーティング・エナジーの投資部門次長のテシアナ・バリビークは言います。「それは国際的な支援、特にUSAIDの支援によるところが大きく、そのおかげでエネルギー分野のさまざまなニーズに応えることができるのです」

バナーイメージ:2022年12月5日、ウクライナのクラマトルスクで、発電機、食料、飲み物、暖かい場所を提供する政府の救助施設で絵を描く女の子 (© Andriy Andriyenko/AP)

*この記事は、ShareAmericaに掲載された英文を翻訳したものです。