年一度、世界中のユダヤ人の子供たちは、ヘブライ文字が刻まれた「ドレイドル」と呼ばれる四角錘の「こま」を使ったゲームをします。このゲームはユダヤ教のお祭りハヌカの間に行われ、2000年以上前にエルサレムで起きた奇跡を祝うものです。
ハヌカ同様このゲームは、ユダヤの英雄ユダ・マカバイ率いる決死のユダヤ人戦士部隊が侵略軍と戦い勝利したこと思い起こすものです。敵をエルサレムの街から追い出した後、ユダヤ人はメノラーという枝状の燭台に灯をともし、彼らの聖なる神殿を再び奉献することができました。
言い伝えによると、忠実なユダヤ教信者たちは、メノラーに灯をともす儀式用の聖油を1日分しか見つけることができませんでした。にもかかわらず炎は、再び聖油を準備するまで8日間燃え続けたのです。これは奇跡とみなされ、今日に至るまでユダヤ人は、各家庭でメノラーに灯をともし、特別な祈りをささげ、歌を歌い、伝統料理を準備してこの出来事をお祝いしているのです。
このお祭りを祝う人たちは、8日間灯をともし続けた聖油の言い伝えを象徴する料理として、よく揚げ物を作ります。中でもジャガイモのパンケーキ「ラトケス」や、「スフガニア」というジャムを入れたドーナツが代表的です。
イスラエルでドレイドルを使ったゲーム遊びをする子供たちは、ヘブライ語で「ネス・ガドール・ハヤ・ポー(Nes gadol haya po)」と歌います。「偉大な奇跡がここで起きた」という意味です。米国や、イスラエルを出て海外で暮らすユダヤ人の家庭では、「ネス・ガドール・ハヤ・シャム(Nes gadol haya sham)」と歌います。こちらは、「偉大な奇跡がそこで起きた」という意味になります。
アメリカ中のシナゴーグでは、ラトケスのディナーを催し、ハヌカの物語を語り伝えます。そしてワシントンのホワイトハウスでも毎年、ナショナルメノラーの点灯式が行われ、音楽が演奏され、温かいラトケスやドーナツがふるまわれます。
ハヌカは、世界中の敬虔なユダヤ教信者が、ユダヤの歴史に起きた奇跡を思い起こし祝福するための喜ばしい習慣です。この祭日は、内省と贖罪を特徴とするロシュ・ハシャナ(ユダヤの新年祭)やヨム・キプル(贖罪の日)のようなユダヤ歴の大祝祭日には含まれません。
ハヌカの日程は、ユダヤ歴に基づいて変わります。今年のハヌカは、12月7日の夕刻に始まり12月15日の夕刻に終わります。
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