ノエラニ・カーシュナー

アメリカは、2035年までに国内の総電力供給量の40%、2050年までに45%を太陽光発電でまかなえるようになります。

エネルギー省のジェニファー・M・グランホルム長官は9月8日、2021年版太陽光発電の未来に関する報告書を発表し、「私たちの研究は、最も安く、成長著しいクリーンエネルギー源である太陽光発電により、2035年までにアメリカ国内の全世帯に電気を供給できるだけの十分な量の電力をつくりだし、さらに150万人分の雇用を創出できることを示している」と述べました。

太陽光発電関連産業は2035年までに150万人分の雇用を創出 (State Dept./Helen Efrem)

太陽光発電関連産業は2035年までに150万人分の雇用を創出 (State Dept./Helen Efrem)

政府は、2030年までに炭素排出量を50~52%削減し、2035年までにゼロ炭素電力を実現し、2050年までに炭素排出実質ゼロを達成する目標を掲げており、このような研究は州や連邦政府が大胆な行動に軸足を移す道を開くものになります。

3つの太陽光発電技術

太陽光発電は、さまざまな技術を用いて、太陽の光と熱を電力に変えるものです。幅広く普及している技術は次の3つです。

  • 太陽光パネルといった光起電(PV)装置を用い、太陽光を半導体に通し、直接電力へと変換する
  • 集光型太陽熱発電(CSP)。鏡を使って太陽光を一カ所に集め、十分な熱量をつくりだし、蒸気タービンあるいはエンジンを動かして電気をつくる
  • 太陽熱暖冷房システム(SHC)。太陽熱を給湯と冷暖房に利用し、電気や天然ガスの必要性をなくすもの

太陽電力は石炭発電と異なり、地球温暖化の原因となる温室効果ガスを排出することもありません。

気候変動問題を担当するジョン・ケリー大統領特使は7月、「世界のGDPの77%を占める国々では、太陽光発電と風力発電が最も安い新電力源となる」と述べました。

太陽光発電の利用と貯蔵における今後の見通し

2021年版太陽光発電の未来に関する報告書は、国内の脱化石燃料に向けて、太陽光発電が規模やコスト面でどのような役割を果たせるかを示しています。

報告書はまた、太陽光発電や風力発電などのクリーンエネルギーに転換することで、300万人の雇用が創出され、電気料金の削減にもつながると指摘しています。

エネルギー省は、太陽光発電は国内電力供給量の最大40%をまかなえると結論付けています。エネルギー省の研究は、2020年から2035年にかけ電力需要の増加が予測されていることから、この点は特に重要になると指摘しています。

(左)国内電力供給ー太陽光発電事業の展望  現在:3%、2035年:40%、2050年:45%
(右)2050年における太陽光発電の利用見通し  建物:30%、輸送・交通:14%、産業:8%

また、太陽光発電の貯蔵技術を改善すれば、電力網の強じん性が高まることにもつながります。晴れた日の余剰電力を貯えておくことで太陽電池は、曇りの日や災害時に停電が起こった際に電力を供給することができます。

つまり、信頼性の高い電力を安価で提供できることになり、他の国も同様に恩恵にあずかることができると報告書は述べています。

バイデン大統領は第76回国連総会で、「このような意欲的な投資は、優れた気候変動対策になるだけでなく、各国が自国やその未来に投資する機会にもなる」と述べました。

バナーイメージ:ドローンから撮影したスタントン太陽光発電所(フロリダ州オーランド郊外)。総発電量は6メガワット (© Paul Hennessy/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

*この記事は、ShareAmericaに掲載された英文を翻訳したものです。