物語は、キャンプファイヤーや子どもを寝かしつける時だけのものではありません。時代と場所を特定したり、普遍的な真実を示したりするのに役立つことが多いのです。

だからこそ、米国議会図書館のアメリカン・フォークライフ・センターでは、悲しい話や面白い話、そして心が痛むような深刻な話までも保存しているのです。口述歴史のコレクションの自慢は、65万人の参加者から収集した物語の数々です。これは、世界最大の口述コレクションとなっています。

このプロジェクトは、ラジオプロデューサーのデーブ・アイセイの発案で、2003年にStoryCorps(物語隊)と名付けられました。StoryCorpsは、寄付によって運営される独立した非営利団体です。

最初は、ニューヨークのグランド・セントラル・ターミナルにある録音ブースで、2人1組となってストーリーのインタビューを行いました。現在では、アトランタとシカゴにサウンドブースを設置し、モバイルレコーディングも行っています。新型コロナウイルスのパンデミックが発生するとStoryCorpsは、携帯電話やコンピューターでインタビューできるプラットフォームを追加し、ソーシャルディスタンスを確保しながら、アメリカ人が自らのストーリーを語る手助けをしました。

「他者のストーリーに耳を傾けることで、私たちが共有する人間性をより深く理解することができる」。StoryCorpsのマネージング・ディレクター、コリーン・ロスは言います。「聞くことは愛することであり、ますますもって、他者への思いやりと共感を築くのに不可欠な行為となっている」

ShareAmericaでは、お気に入りのストーリーをいくつかシリーズで紹介します。最初は、クリスマスの伝統がどのようにして始まったのかを説明する物語です。

サンタに「敬礼」

今から66年前、デパートのシアーズ・ローバック・アンド・カンパニーは、子どもたちが電話でサンタクロースと話ができるようにと、電話番号を印刷しました。

しかし、その番号には誤りがあり、大陸防空司令部(現在の北米航空宇宙防衛司令部、NORAD)の空軍大佐のデスクにつながりました。アメリカとカナダの空を守る司令部です。

ここでは、故ハリー・シャウプ大佐の3人の子どもたちが、普段は厳格な父が、「サンタクロース」に殺到した電話にどう対応したかを語っています(下のイメージをクリックして、ページをご覧ください)。今でもこの時期になると、世界中の子供たちがNORADに電話をかけ、多言語でサンタの最新情報を求めてきます。

Terri Van Keuren, Rick Shoup and Pamela Farrell