米国勢調査局によると、アメリカの家庭で英語以外の言語を話す人の数は、最近の30年間で2310万人(約10人に1人)から6780万人(約5人に1人)へと約3倍にまで増加しています。
非営利団体「国境なき翻訳者(Translators Without Borders)」によると、アメリカでは350から430の言語が話されており、地球上で最も言語的に多様な国の一つとなっています。この数字は、米国勢調査局が発表した「350以上の言語」という推定と一致しています。
家庭で話される非英語言語で最も多いのがスペイン語です。約4200万人が家庭内でスペイン語を話しています(非英語言語を話す人のおよそ3分の2)。
また、英語以外では、中国語(349万人、5.2%)、タガログ語(170万人、2.6%)、ベトナム語(150万人、2.3%)、アラビア語(120万人、1.9%)がトップ5となっています。
豊かになる英語
話される言語の増加で、アメリカ英語は豊かなものとなります。「外来語」を取り入れて、英語は常に進化しているのです。ライス大学の言語学教授スザンヌ・ケマーは、「英語の話者が、接触したあらゆる文化の言語から常に外来語を取り入れてきたことは、文化史の一部である」と書いています。
メキシコ料理の人気のおかげで、英語話者も日常的に多くのスペイン語の単語を使っています。また、アメリカの州や都市には、聖人の名前(サンフランシスコ、サンタクララなど)や地理的な特徴をスペイン語で表した言葉がよく使われています。例えば、モンタナ州の州名はスペイン語で「山」を意味する「montaña」からきていますし、カリフォルニア州の都市名「モントレー(Monterey)」は、スペイン語の「王の山」が語源です。
また、「Rodeo(ロデオ)」や「alligator(アリゲーター)」(「トカゲ」を意味する「el lagarto」から)もスペイン語が由来です。他にも、「barracuda(バラクーダ)」「aficionado(熱狂的なファン)」「plaza(プラザ)」「tango(タンゴ)」「bonanza(大当たり)」「savvy(精通した)」「coyote(コヨーテ)」「vigilante(自警団員)」など、スペイン語由来の英単語が増えてきたのです。
中国語はスペイン語と同様、食に関する単語が豊富です。また、「gung-ho(非常に熱心な)」や「typhoon(台風)」などの単語も英語圏で使われるようになりました。
アメリカのスラング「boondocks」(略して「boonies」)は、タガログ語で「山」を意味する「bundók」に由来し、地方の山間部の略語として使われています。また、ベトナム語の「pho」は、伝統的なスープ料理の名前で、英語圏の料理好きにはお馴染みです。
アラビア語もスペイン語や中国語と同様に、英語への貢献度が高い言語です。「algebra(代数)」「giraffe(キリン)」「sofa(ソファ)」「tariff(関税)」「safari(サファリ)」「alchemy(錬金術)」「gazelle(ガゼル)」「alcohol(アルコール)」「cotton(綿)」「sugar(砂糖)」「ghoul(悪霊)」などのよく使われる言葉は、すべてアラビア語からきています。
バナーイメージ:2021年6月、ワシントンで学校を訪問するハリス副大統領。バイリンガルの生徒とその教師と話す (© Manuel Balce Ceneta/AP)
*この記事は、ShareAmericaに掲載された英文を翻訳したものです。
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