9月のある一日、私は筑波研究学園都市を訪ねました。最先端の研究開発、特に日米の研究者がより良い世界を目指して実施しているさまざまな驚くべき研究を見学するのが目的でした。
宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は、世界でも最先端の宇宙機関の1 つで、米国航空宇宙局(NASA)の緊密なパートナーです。現在日米両国は、有人宇宙探査、宇宙科学、地球科学、航空学など宇宙に関する70以上の分野で協力する合意をしています。JAXAは国際宇宙ステーション(ISS)で「きぼう」日本実験棟を運用しているため、筑波宇宙センターでは「きぼう」運用管制室に24時間体制で技師を配置しています。巨大な「きぼう」の船内実験室は、ISSで研究に従事する全ての宇宙飛行士に人気の仕事場です。実物大の模型の中に立ってみてその広さに驚きました。
私はまた、「こうのとり」と呼ばれる日本の宇宙ステーション補給機(HTV)が、米国の物資も含め必要な補給物資を、どのようにISSに送るのか知ることができました。昨年、日本が「こうのとり」5号機(HTV-5)の打ち上げたときのこと。補給機の事故により、米国は予定していたISSへの物資の補給ができなくなっていました。NASAの物資をHTV-5に追加搭載してほしいという米国からの依頼を受けた日本は、打ち上げ直前だったにもかかわらず、これを受け入れてくれました。この話に私は本当に感激しました。困っている友人を助けてくれたのです。
筑波宇宙センターの近くにある高エネルギー加速器研究機構(KEK)で行われた実験は、何十年にもわたる国際協力の結果、4度のノーベル賞受賞につながりました。KEKの研究員の案内で、スーパーケックビー(SuperKEKB)と呼ばれる電子・陽電子衝突型加速器を見ることができました。コンクリートのトンネル、金属管、高性能磁石でできた周長3kmのリングは、まさにSFの世界でした。科学者たちは、この加速器から得られるデータを使って、宇宙誕生をつかさどった根本的な法則を研究しています。この施設が素晴らしいのは、スーパーケックビーが世界中の研究者に開放されている点です。定期的にここを訪れる米国の研究者と話して、彼らの熱意に触れることができうれしく思いました。このような共同研究ができるのも、日本が寛大にもこの施設を世界の研究者たちに開放してくれるからです。
道路の反対側にある国立研究開発法人産業総合研究所(AIST)つくばセンターも訪ねてみました。AISTが全国で監督する研究には、福島再生可能エネルギー研究所も含まれます。日本在住の米国人研究者2人が自らの研究と、産学連携の機会や課題について説明してくれました。
つくば市訪問の機会を捉えて、日本で最も著名なロボット科学者の1人である山海嘉之博士を訪ね、彼が代表取締役を務めるサイバーダイン社が今年、米国子会社を設立したことについてお祝いを伝えました。私は博士の開発した有名なサイボーグ型ロボット (HAL) については知っていましたが、今回つくば市にあるサイバーダイン社のスタジオに実際に行ってみて、患者さんがリハビリの一環としてHALを装着して歩くのを直接見ることができました。HALは複雑な機械なので、自在に使えるようになるまでには時間がかかると思っていましたが、2~3分練習しただけで私も意のままに動かせるようになりました。サイバーダイン社の製品が米国でどのように発展するか楽しみです。
科学分野で連携する日米のさまざまな取り組みを大変誇りに思います。そのことを多くの人たちに知ってもらい、さらに交流と共同作業を進めるためにできるだけのことをしたいと思います。
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