デーブ・レイノルズ

数万件に及ぶコロナウイルスの研究を米国が公開したことで、人工知能(AI)を使って世界中の専門家が、COVID-19の治療法をより迅速に検索できるようになりました。

「CORD-19」と呼ばれる「COVID-19 オープン・リサーチ・データセット」の公開以来、専門家はデータを5万4000回ダウンロードしています。また、研究者が新たな研究を迅速に活用できるよう、AIを利用した1000以上のテキストやデータマイニングツールを開発してきました。

ホワイトハウスは3月16日、学術出版社やテクノロジー企業と提携しデータを公表しました。同時に、マイケル・クラツィオス技術政策担当大統領補佐官は、科学者がデータを研究するのに役立つツールを開発するよう、人工知能の専門家に呼びかけました。

このデータベースには、新型コロナウイルスに関する2万9000件以上の科学的研究論文が入っており、そのうち1万3000件は全文が収録されています。アレン人工知能研究所の最高経営責任者オーレン・エツィオーニ博士は、このパートナーシップにより今後もデータベースを追加し、新たな研究がさらに便利に利用できるよう新しいAIツールの開発を続けていくと述べています。

「AIの応用がもたらす最も直接的かつインパクトのある効果の1つは、科学者、学者、科学技術者が、膨大な数の科学論文から正しい情報を見つけ、研究をより迅速に進める手助けができることです」。エツィオーニ博士は、3月16日のホワイトハウスの声明でこう述べました。

ホワイトハウス科学技術政策局は、COVID-19の世界的流行に対処するための透明性と共同研究に基づく「全アメリカ的取り組み」の一環として、コロナウイルス研究の公開を要請しました。

このパートナーシップには、アレン人工知能研究所、チャン・ザッカーバーグ・ イニシアチブ、ジョージタウン大学安全保障・新興技術センター、マイクロソフトコーポレーション、米国立衛生研究所・国立医学図書館などが含まれています。

透明性、互恵性、開放性、共同研究は、米国の科学研究の真骨頂です。これらは、COVID-19の治療法発見など、世界的な重要課題の解決に不可欠です。

「この貴重な新しいリソースは、私心のない共同研究の成果で、COVID-19に関する重要な問題の答えを発見する機会を提供します」。ジョージタウン大学安全保障・新興科学技術センターのデータ・サイエンス・ディレクター、ディーウェイ・マーディック氏は、3月16日の声明でこう述べています。

バナーイメージ:ニューヨーク州レイクサクセスのノースウェル・ヘルス・ラボで、患者のサンプルを装置に挿入しCOVID-19の検査を行うラボの技術者 (© Andrew Theodorakis/Getty Images)