海外で勉強したい学生にとって、多様性ある教育を提供するアメリカは世界で最も人気の高い留学先です。

国際教育研究所(IIE)と国務省教育文化局が出版する国際交流に関する年次報告書「オープンドアーズ」の最新版によると、2019~2020年度にアメリカに来た留学生数は100万人以上となりました。5年連続での100万人越え達成です。

オープンドアーズの発表と共に始まったのが、第21回国際教育週間です(11月16日~21日)。これは、国際教育と交流がもたらす相互利益に注目する国務省と教育省による共同プロジェクトです。

マリー・ロイス国務次官補(教育・文化担当)は、「新型コロナウイルス感染症拡大前の留学生数が5年連続で100万人を超えたことは励みとなる」とコメントしました。

留学生の動向はいつになく重要となっている。アメリカは学位を取得するのに最適な留学先。教育は素晴らしい未来につながる道であり、国際教育交流には学生が進む道を変える力がある――マリー・ロイス国務次官補(教育・文化担当)

2019~2020年度にアメリカに来た留学生の出身国は、中国、インド、韓国が上位を占めました。また、バングラデシュからの留学生は前年度比で7%増、ナイジェリアからは2.5%増となりました。

報告書によると、カリフォルニア州とニューヨーク州が最も人気が高い留学先となりました。多くのトップ校が集まるテキサス州とマサチューセッツ州はそれぞれ第3位と4位にランクインしています。

人気のある専攻科目は、科学・技術・工学・数学(STEM)分野で、それらに続くのはビジネス経営、社会学でした。

アメリカが留学先として人気の理由はSTEM教育だけではありません。今年度は、美術や応用美術を専攻する留学生が2.2%増えました。

一方、海外の大学に学位留学するアメリカ人学生の割合も引き続き高くなっています。2018~2019年度に海外に留学したアメリカ人学生は34万7000人以上で、前年より1.6%増えました。

人気留学先の首位はイギリス、イタリアで、スペイン、フランスと続きます。

その一方で、韓国に留学するアメリカ人学生が増えています。前年比で16%増加しており、ヨーロッパ以外の国への関心も高まっていることがわかります。

2019~2020年度版オープンドアーズは、世界各地でコロナ禍が広がる前にまとめられたものですが、IIEのアラン・グッドマン所長は、長期的には感染拡大の影響はないと指摘しています。

IIEの101年の歴史の中で、新型コロナは12番目となるパンデミックです。IIEがコロナ以外のパンデミック時の国際教育の動きを調査したところ、パンデミックが終わるとすぐに国際交流が回復していることがわかりました。

グッドマン氏は、「パンデミックは大きな障害や困難をもたらすが、楽観視できる十分な理由がある。パンデミック後、教育交流はすぐに再開し、留学生数も大幅に増える傾向」と指摘しています。

バナーイメージ:カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA)のロイスホール。留学生が勉強したい大学ランキングで7位 (© Ken Wolter/Alamy)