リー・ハートマン

間もなく始まる5G(第5世代移動通信システム)無線ネットワークで世界は変わります。5Gで相互に接続する新しいアプリケーションにより、ビジネス革命が起こり、インフラが発展し、個人の通信は大きく様変わりするでしょう。

5Gの新たなアプリケーションは私たちの生活にとって重要となるため、あらゆるデータを安全に保存することがこれまで以上に大事になります。

日米両国は5G配備に向けた基準導入におけるリーダーで、斬新で変革を起こす技術によるセキュリティ上の問題を考慮しています。両国はそれぞれのやり方で、この問題に取り組んできました。一例として、日本政府は昨年12月、機密関係機器の調達ガイドラインを強化する措置を講じ、信頼できない業者を排除しています。また日本政府は4月に、適切なサイバーセキュリティ対策を講じることなど12の基準を条件として、5G電波帯域の割り当て枠を発表しました。このような方法で日本政府は、信頼できるネットワークを構築しようとしています。

ではどうすれば、プライバシー侵害から自身を守ることができるのでしょうか? 企業機密が盗まれ、重要インフラが破壊されたらどうなるでしょう? 近代社会におけるあらゆるものと同様に、5Gでは契約する通信会社の信頼性が非常に重要になります。

通信会社の信頼性とは

消費者にとって、契約する5Gプロバイダーがデータを保護し、サービスを途切れなく提供してくれるという信頼性は欠かせません。これには技術的な問題以外のことが関係してきます。

ロバート・ストレイヤー国務次官補代理(サイバーセキュリティー担当首席外交官)は先日、報道関係者の質問に答え、ユーザーが次のことを認識する重要性を説明しました。それは、契約する5G通信会社が、「外国政府の圧力で弱体化されてはならない、またユーザーのソフトウェアやファームウェアを損なう措置を組み込むよう指示される立場にあってはならない」ということです。

ロバート・ストレイヤー国務次官補代理(サイバーセキュリティー担当首席外交官)(© Leigh Vogel/Concordia Summit/Getty Images)

ロバート・ストレイヤー国務次官補代理(サイバーセキュリティー担当首席外交官)(© Leigh Vogel/Concordia Summit/Getty Images)

消費者は、契約する通信会社から頻繁にハードウェアやソフトウェアの更新バージョンを受け取るのが普通になっています。しかし、この更新バージョンには何が含まれるのでしょう? 受け取った特定のバージョンが安全だったからといって、その後通信会社がユーザーの端末を弱体化させるバージョンを組み込まないとは限らない、ストレイヤー国務次官補代理はそう説明します。

欧米諸国に本社を置く通信会社の場合、データ侵害を受けた消費者には損害賠償など法的保護を受ける権利があります。しかし本社が中国にある通信会社の場合、消費者は同様の保護を受けることはできません。

もちろんすべての企業が、セキュリティー侵害などあり得ないと主張するでしょう。だからこそ、5Gネットワークの購入を考える国は、客観的要因に基づいて販売会社を評価する必要があるのです。ストレイヤー国務次官補代理は、以下の点を考慮するよう提案しています。

  • その通信会社が本社を置く国は、法の支配を尊重し司法が独立しているか?
    これは、ネットワークを弱体化させようとする国の圧力に企業が抵抗できるかどうかの指標になります。
  • その通信会社の株主構成に透明性はあるか?
    これは消費者が、誰が実際に会社の意思決定をしているのか、特に外国勢力に部分的あるいは全体的にコントロールされていないかを確かめるものです。
  • その通信会社はこれまで倫理的な活動をしてきたか?
    消費者が、ネットワークを弱体化させることはないと主張する通信会社の信頼性を判断するには、これまでの業績を調べるのが最良の方法です。

疑わしい華為技術の信頼性

華為技術(ファーウェイ)は、世界中で5Gネットワーク機器の生産・販売を目指しています。しかし、5Gの導入を計画している国や消費者には、同社からの購入に慎重になるべき明確な理由があります。

華為技術は中国に本社があります。中国では司法は独立しておらず、法の支配も実践されていません。それどころか中国には、政府のスパイ活動の援助を企業に義務付ける法律すらあります。中国政府が企業にスパイ活動や窃盗を命じた場合、企業側には抵抗するすべがないのです。

しかも華為技術には、ライバル企業からの機密窃盗など、倫理違反の実績があります。

「華為技術には、長期にわたる世界中での知的財産窃盗や、腐敗防止法に反する行為という実績があります」と、ストレイヤー国務次官補代理は言います。5Gに関する限り、米国とその同盟国は、「確実に信頼できる販売会社だけが5Gネットワークに参入できるようにしなければなりません」