米国はプラスチックごみが世界の海に流失しないよう、国際パートナーによる廃棄物管理方法の改善を支援しています。

10月19日に発表された「海洋ごみの世界的な問題に対処する米国連邦戦略」は、環境に悪影響を与え、食料や観光で海に依存する経済活動を脅かすプラスチック汚染を削減する世界的な取り組みを強化する計画を示しています。

「世界で毎年最大で280億ポンド(1270万トン)の廃棄物が海に流れ込み、海洋生物や沿岸経済に悪影響を与えている」。米国環境保護庁のアンドリュー・ウィーラー長官はこう述べています。「海洋ごみはこの政権の最優先事項であり、グローバルパートナーと協力し、我々が共有する海で現在も増加する海洋ごみ問題の解決を目指します」

フィリピン・マニラでプラスチックごみに覆われたビーチで魚を運ぶ男性。2018年4月18日 (© Jes Aznar/Getty Images)

フィリピン・マニラでプラスチックごみに覆われたビーチで魚を運ぶ男性。2018年4月18日 (© Jes Aznar/Getty Images)

毎年平均730万トンのプラスチックごみが最終的に世界の海に流出し、年間推定2640億ドルの費用を要しています。戦略文書によると、全海洋ごみの半分以上はアジアの5カ国で発生しており、2016年に海や湖、川に流入したプラスチックごみの7.4%は中国からのものでした。

2018年に成立した「Save Our Seas Act(我々の海を守る法)」は、米国政府に国内外での海洋ごみのさらなる制限を指示するものです。戦略文書によると、世界の廃棄物排出量は、現在の18億トンから2050年までには70%増加し年間30億8000万トンになると予想されていることから、新たな取り組みが始まりました。

この戦略は、世界の海洋ごみ削減に向け主に4つのアプローチを提唱しています。

  • 廃棄物管理向上のための収容・処理施設構築
  • 民間部門と協力した世界のリサイクル市場の協力態勢促進
  • 革新的な技術や解決策の研究開発促進
  • 海や川での捕獲システムによりごみの除去を促進

この計画は、環境保護庁の「ごみのない海」国際イニシアチブなど、海洋ごみを削減する米国の既存の取り組みの上に成り立っており、国際パートナーと協力し、意識向上、廃棄物収集などの取り組みを通じてごみの発生源を削減します。

米国国際開発庁(USAID)の「Clean Cities, Blue Ocean(クリーンな都市、クリーンな海)」計画は、急速に都市化が進むアジアやラテンアメリカの国々に5年間で4800万ドルを拠出しています。そういった国々に固形廃棄物管理システムの改善と行動の変化を促すことで、プラスチック汚染を抑制できるよう支援しています。

USAIDは2016年10月、1400万ドル規模の「自治体廃棄物リサイクルプログラム」を立ち上げ、インドネシア、フィリピン、スリランカ、ベトナムにおいて、革新的で持続可能な解決策を提供する現地主導の30プロジェクトに助成金を提供してきました。

USAIDはまた、「廃棄プラスチックをなくす国際アライアンス」や民間部門と提携し、海洋ごみの原因となっている都市の廃棄物管理を改善するビジネスモデルや技術を展開しています。このアライアンスは、15億ドルを一括投資してプラスチック廃棄物をなくす解決策に取り組む50社以上の民間企業を招集しました。

USAIDは米国国際開発金融公社と協力し、南アジアと東南アジアで民間部門によるリサイクルへの投資を促進するため、3500万ドルのローンについて部分保証も提供しています。

バナーイメージ:ニュージャージー州サンディフックのビーチに捨てられたペットボトル。2019年4月 (© Wayne Parry/AP Images)